ジャンル
とう

ライン

工房名・地域
かまもと そら(SORA)
(阿蘇郡西原村)
氏名
ふくやまひろし

ライン

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工芸家プロフィール

1959年
玉名郡南関町に生誕。
1986年
阿蘇青磁窯に勤務後、窯元天(SORA)を開く。
2000年
オカリナ制作を開始。

工芸家紹介TOPHOME

インタビュー記事(2010年頃)

緑豊かな山林に囲まれた阿蘇郡西原村に福山宏さんが工房を構えたのは1993年。しかし、平成28年熊本地震で工房は全壊。現在は、自宅横に小さな工房を構え制作に励んでいます。
福山さんは陶芸とは縁のない家に育ちましたが、卒業後は鳥栖や神戸の窯元で修行をしながら青磁や焼締といったさまざまな焼き方を学びました。
「僕の作風は年々変わるんですよ、思いつきで作っているから。白泥を化粧掛けして焼くひきなどのやり方を通してきましたが、陶芸を始めた当時のやり方に回帰しようかと考えています」
そう語る福山さんが1999年から食器などと並行して力を入れているのが、楽器のオカリナづくりです。急須などに用いられるしゅでい土を使い、年間100?150本近くを制作しています。

「阿蘇在住の“Viento(ビエント)”というアーティストがいるんですが、彼らが音楽活動を始めたのと私が窯を開いたのが、同じ頃。当時、趣味で作っていたオカリナを見せたら褒めてもらえて。彼らのライブで販売してもらったのが始まりですね」
最初は、安価なプラスチックのオカリナを分解しながら見よう見まねで作り始めることからスタートしたそうです。平らにした粘土の中に木製の内型を包み、ある部分をカットして木型を取り出し、再び接合。指穴などを彫りながら成形。
「0.1ミリ単位で刃先を入れてカタチや指穴を整え、音階の測定器で判断しながら、微妙な音の調整を行います」
オカリナは成形する過程で縮んで小さくなるため、最終的なサイズをあらかじめ想定しておく必要もあります。
「焼き上がらないと音の完成度は分からないので、失敗作の破片は山のよう。キズ一つなくても、音が少しでも狂っていたらおしまいです。音の高さにはC管やG管など色々ありますが、同じC管のオカリナを作っても、厚みや大きさを少し変えただけで音は微妙に違ってくる。そこがおもしろさでもありますね」
試しに吹いてもらった音色は透みきった小鳥の歌声のように美しく、まっすぐと伸びやかで心の中までしみ渡っていきます。完成度の高さを聞きつけ、遠くは大阪から買い求めに訪れる人もいるほど。福山さんは、今後阿蘇の土を使ってオカリナを作ってみたいという夢を持っています。

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