平木 孝幸

【陶磁器】
平木 孝幸(ひらき たかゆき)
陶房立神峡(とうぼうたてがみきょう)
-八代郡氷川町-

 

1963年八代郡東陽村(現八代市東陽町)生まれ
1979年有田工業高校窯業科入学
1982年九州産業大学芸術学部デザイン科入学
1984年愛知県瀬戸市の加藤舜陶氏に師事
1994年独立
朝日陶芸展、日本新工芸展、中日国際陶芸展、豊田美術展、中日ビエンナーレ展、日展入選
瀬戸市長展市長賞、愛知県文連美術展奨励賞入賞など

平木 孝幸

八代郡氷川町を流れる氷川のほとり、岸壁と渓谷が美しい立神峡(たてがみきょう)公園。ときにはタヌキやウサギ、鹿なども現れるのどかな公園内に陶芸家・平木孝幸さんの窯はあります。もともとは絵画の道を目指そうとした平木さんですが、父親が買ってきた備前焼のおもしろさに惹かれ、焼き物を学ぶため佐賀県の高校へと進学。日展評議員だった加藤舜陶氏のもとで焼物の技術を学び、今日まで手抜きをしない丁寧な仕事を心がけてきました。食器や花器、茶道具など生活に密着しつつ、ちょっとだけ非日常的な贅沢を感じてもらえる作品を作っています。
平木さんの焼き方は、大きく分けると2つ。青みや緑がかった柔らかな風合いが現れる灰釉(かいゆう)の器は、ホタル技法を用います。ホタル技法とは、透かし彫りした文様に流れ落ちにくい釉薬を詰めて焼く技法です。この技法で焼くとガラス質がそのまま留まってステンドグラスのようになります。そして、もう一つは釉薬を使わない焼締(やきしめ)。下書きは行わず、成型した胎土にフリーハンドで透かし彫りをしていくランプスタンドや香炉(こうろ)は、灯りをともすと幻想的な陰影が周りを非日常の世界へと一変させます。
一方、同じ焼締でもカップなどの器になると、ひと味違います。信楽(しがらき)の土を数種類ブレンドした粘土で器を成型し、窯の中にさやを入れて炭や塩と一緒に焼成すると、ブロンズのような、なんともいえない光沢が生まれます。
「彫刻や自然を見たりして、焼き物とは直接関係のないものからインスピレーションを得ています」