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 最初に、私たちの暮らしと工芸のことについて少しお話をさせていただきます。
 私たちの毎日の暮らしを振り返りますと、湯飲みや茶碗、皿、汁椀、箸、卓、椅子、織物など様々な工芸品を使って一日の生活を過ごしています。
 こういった工芸品、例えば陶磁器は一体いつ頃から使われてきたのでしょうか。平成25年4月のテレビニュースで、北海道の大正遺跡から約1万4千年前に煮炊きに使われ、その焦げ跡が付いた土器が発見され、世界で最も古く料理に使われた土器の発見として報道されていました。縄文早期には既に土器が我が国でも作られ、暮らしの中で使われていたことが当時の遺跡を調査することによって明らかになったのです。また、5世紀頃になると朝鮮半島から登り窯が伝えられ、陶器と呼べるような硬い焼き物が出来るようになっていきました。茶碗や皿によく使われる磁器の生産はもっと後の時代、1616年から有田で生産が始まっています。
 また、金属を加工した金工品は、弥生時代の前期に中国や朝鮮半島で製造された農具や武具などが伝わり、それを参考にして我が国における銅鐸や銅鏡、武具などの生産が始まったと思われます。ところで、金属加工の技術の一つに彫金がありますが、その一技法として象がんがあります。熊本の江田船山古墳から出土した太刀や木柑子古墳から出土した鐔には、既に銀象嵌が施されています。現在、私たちが目にする肥後象がんは、布目象眼が多く、これは江戸時代の初め頃から始まった象がんの一技法です。
 漆も使われ始めたのは古く、縄文時代の遺跡から漆を塗ったモノが発見されており、早くから使われていたようです。
 織物のうち絹や麻も古くから日常生活に使われてきました。私たちがよく使う木綿は、意外と新しく江戸時代の初めには栽培されていましたが、庶民に広まるほどの生産量となるのは江戸時代の中期の頃のようです。この頃に畳も庶民に使われ始めます。
 このように工芸品のそれぞれに古くからの歴史があり、工芸品は私たちの暮らしの中で生み出され、創意工夫を加えられながら、その技が伝えられ、日々の暮らしの中で大切に使われ、私たちの生活文化、日本的な文化を形作ってきました。


 明治維新後において、武器や軍艦をはじめ工業生産の技術では日本は欧米に大きく遅れていました。しかし、こういった工芸の手仕事の技術の高さと、当時の武士や町民が塾で読み書き、そろばんを学んでいたという、当時の世界におけるトップレベルの教育の高さが相まって、先進国の製品の生産技術を理解し、それに改良を加え、輸出できるほどの産業を興すことで、明治の日本が先進国に追いつき、急激な成長をなしえることができたのではないかと考えています。
 しかしながら、武家社会の終焉は工芸の世界に大きな変化をもたらします。これまでのような武家からの注文や藩からの買い上げが無くなり、それぞれの工芸品は一般の消費者に買ってもらえるような品物やデザインを考えて製作していくようになります。工芸家にとっては厳しい状況の変化ではありましたが、それまでにも工芸品についての流行り、廃りはあったのであり、明治初期の大きな変化も乗り越えて、伝統の技を後世に伝えていくことが出来ました。
 むしろ、昭和の時代になって予想しにくい形で工芸の環境が激変します。高度成長期には生活が豊かになり、工芸品も飛ぶように売れたと聞いておりますが、その一方では、生活スタイルの変化や工芸品に代わる工業製品の拡大により、それぞれの地域で作られ、家庭で使われていた竹製品や木工品、陶磁器が工場の製品に取って代わられていきます。また、消費の上では使い捨ての感覚が広まり、より安価な工場製品の購入が増えていきます。台所のざるもプラスチックやステンレスのモノに取って代わられ、包丁や茶碗類も手作りのモノから工場で作られたモノが大型店の店先に並ぶようになっていきました。しだいに手作りの工芸品へのニーズが減り、工芸品を作る方も自分の代で辞めてしまうことが多くなり、従事している方の数も大きく減少していきました。
 それでも経済が成長している内は、工芸品を暮らしに使いたいと思われる方もまだ多く、工芸家の数は減少しつつも特定の工芸品は売れている状況にありました。平成3年にバブル経済がはじけ、経済が低迷するようになると工芸品の売れ行きも減少を見せ、工芸にとって長く厳しい時代が始まります。
 その後の日本経済は、少し回復したかと思うと又低迷することの繰り返しとなり、今日に至っています。この間工芸界も大変なダメージを受け、後継者の問題や販売の不振等の問題が生じています。

 工芸は、長い歴史の中で、私たちの暮らしの文化として培われてきたものであり、日本文化の一面を形作っています。グローバル化した国際社会の時代にあっては、日本独自の文化を大切にしていくことがより求められています。もし、私たちが伝統的な工芸を顧りみなくなれば、日本の文化を無くしていくことにもつながり、工芸をはじめ様々な日本文化が生み出す日本らしさを無くしてしまうことになるのではないかと危惧しています。熊本県伝統工芸館では、県民の皆様をはじめ県外から訪れられたお客様に、伝統工芸品の手作りの品が持つ良さや温もりを感じていただき、使っていただくことで日々の暮らしに豊かさと潤いを感じていただきたいと願っています。

このため熊本県伝統工芸館では、

@ お客様に工芸の魅力を感じていただけるよう、県内をはじめ国内の優れた工芸品による企画展を開催しております。
A 熊本の工芸品を暮らしの中で使いたいお客様には、1Fのショップ匠で工芸品を手に取ってみていただけるよう販売を行うほか、ご自分のイメージで工芸品をあつらえたい方にはご注文を承っております。
また、館内5つの貸し展示場では、県内外の工芸家による展示販売も週替わりで行っております。
B 工芸品を長くご愛用いただけるよう、破損したり、古くなった工芸品の修理に関するご相談も承っております。
C なかなか来館することが出来ないお客様のためにインターネットによるご注文も承っております。

 このような事業を通して熊本の工芸の振興を図り、後世にその技を伝えていきたいと考えています。皆様のご来館を心よりお待ち申し上げております。




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