toshimitsu_1744.JPG【金工、木工、ホウキ制作、吹きガラスほか】
OPEN STUDIO
高光 俊信-熊本市-
1947年生まれ。九州産業大学芸術学部を卒業後、紙造形の第一人者・柏崎栄助さんに師事。専門学校や短大の講師を経て、イギリスの大学院で吹きガラスの基礎を学ぶ。1990年以降は金属を使った創作活動やホウキ作りも開始。1994年、南阿蘇村にASOギャラリーを開設

taro_1770.JPG【金工】
OPEN STUDIO
高光 太郎-熊本市-
1977年生まれ。幼いころから父・俊信さんの創作活動を見て育つ。学生時代にアメリカへ渡り、彫金・鍛金の技術を習得。2000年の帰国後は、俊信さんの片腕として鉄の作品を作るとともに、自身はスズを使った作品制作のほか、宮崎県立美術館などでスズ工芸の教室なども行う

 ツタが絡まり、雰囲気のある建物。熊本市本荘町に店を構えるクラフトショップ「OPEN STUDIO」の扉を開くと、長いひげを蓄えた高光俊信さんが出迎えてくれた。店内にはスズの食器、ホウキ、吹きガラスの花瓶、アクセサリーから薪ストーブまで幅広い作品が並ぶ。いずれも高光さん親子の手作りというから、その多彩な才能には驚かされる。

 「僕って欲張りだから(笑)。幅広くデザインを行うには、いろんなことを知ってないとね。鉄と木、ガラスと鉄といった異素材を組み合わせて生活用品を作りたくて。それで、いろんな技術を勉強してきたんです」と俊信さん。

紙を使ったペーパークラフトに始まり吹きガラス、鉄、磁器、織物、彫金などの技術を学び、これらを自在に組み合わせて独自のデザインを生み出してきた。

 「近年は薪ストーブをおもに制作していて、そのとき使うホウキも作るようになりました。素朴な風合いが好評ですよ」と俊信さんが手際良く作ってくれたのは、大根おろし専用のブラシ。スポンジでは落としにくい目詰まりもキレイになるという。

 「僕は、いつも少し“先取り”をしていくのがデザインだと思っているんです。愛や死、憎悪といった普遍的なテーマで先を見つめるのがアートかな、と。僕の生き方自身、デザインだと思っていますから」

 10年周期で新しい素材を学ぶと決めていたという俊信さん。

「だって、人生は短いでしょ? 期限を決めてたくさんのことに挑戦したくて。鉄の次にやりたいのは教育です。日本って物質的には豊かですが、自分で作ったモノを使って生活を楽しむことに慣れていない気がするんです」

 現在、南阿蘇村で開講している阿蘇ものづくり学校「ASOギャラリー」では吹きガラスや鉄の鍛造といった体験教室を開いてきた。体験を通じて創作する楽しさを伝えていくことが、俊信さんの次なる夢だ。

 一方、息子の太郎さんは金属工芸一筋。おもに鉄やスズを使った生活用品のほか、ブリキアートなども創作する。
 店の隣には工房があり、鉄を打つ大きな音が響き渡る。ここが息子・太郎さんの聖域
だ。

「鉄は時間との勝負。熱を当てている間に作業してしまわないと、冷めて黒くなったら割れてしまいますから。」

熱でオレンジ色に焼けた鉄は、トングという道具を使ってアメ細工のように丸く曲げられていく。

 「小さい頃から物づくりをやってましたが、好きというよりさせられて(笑)。僕の場合、父の生き方と違って職人肌だと思うので、金属一筋でやっていきたいですね。同じ素材で工夫を重ねながら、さらに良いものにしていく。技術で勝負していきたいです。」

 モノ作りへの考え方は対照的な2人だが、だからこそ父・俊信さんがデザインを行い、息子の太郎さんがそれを金属でカタチにするという関係がうまく成り立っていた。


dogu_1787.JPG

鉄加工のとき土台として使う金床(かなとこ)、トング、ハンマー、手作りの灯油炉など

makistobe_1760.JPG

かわいいふくろうの薪ストーブ【※作家さん所有の作品です】

isu_1755.JPG

自転車のサドルを使った1本脚のイスは、座ると意外にも安定【※作家さん所有の作品です】

table_1750.JPG

鉄と木を組み合わせた、現代版の火鉢。サイドテーブル感覚で【※作家さん所有の作品です】