熊本の工芸家紹介

小山手打ち刃物(1).jpg手打ち刃物
小山本手打ち刃物
小山 博行(おやま ひろゆき)-宇土市-
川尻刃物を修行した父・小山末喜氏が1928年に創業
長男の博行さんは1933年熊本県下益城郡生まれ
20歳で父が急逝したため2代目に
現在は弟の昭博さん(1934年生まれ)が主体になって製造を行う
1981年伝統的工芸品産業振興協会会長賞受賞(計3回)
1982年通商産業省生活産業局長賞受賞、全国伝統的工芸品展連続4回入賞など

otouto_4041.JPG手打ち刃物
小山本手打刃物
小山 昭博-宇土市-

 500年余の歴史のある川尻手打刃物。その伝統技法を学んだ小山末喜(すえき)さんが創業した「小山本手打刃物」は現在、2代目の博行さんと弟・昭博さんが受け継いでいる。博行さんは14歳の頃から父の手伝いを始め、20歳になってすぐに父が他界。「6人兄弟の長男でしたから、いきなり一家の大黒柱になりました」。長年の重労働に加えて、数年前の転倒事故で両腕が不自由になった博行さんに代わり、兄と同じく父のもとで学んだ次男・昭博さんが中心となって、親戚で弟子の中尾浩輔さんとともに刃物を作り続けている。

 料理用の包丁をはじめ、竹割り包丁や鎌(かま)、鍬(くわ)などの農具から園芸用ハサミ、海の貝を掘る道具など、近隣の住人たちの要望を聞きながら、暮らしに根付いた道具を多数制作。

 手打ち刃物の製造方法は、強固なハガネを鉄の塊に割込んで入れる昔ながらの割込鍛造が基本。素材をまっすぐ切るための文化包丁や菜切り包丁は両面が刃になった両刃割付鍛造の場合、石炭や木炭を使った火床で原料となる鉄の棒(極軟鋼)を熱してハンマーで叩いて鍛錬。中央に切り込みを入れて芯にタガネを挟んだら金づちで叩き伸ばしながら密着させる。形が出来るまで約1時間はかかるという。これを再び均一の温度に熱して、18℃程度の水で急冷、その後きれいに研ぎ上げて完成だ。


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原料となる極軟鋼(ごくなんこう)と、中央右の細い2本は安来鋼(やすきはがね)

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焼切り、生切り、火箸など

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(右から)刺身包丁、出刃包丁※いずれも片刃、文化包丁、菜切り包丁※いずれも両刃
【※作家さん所有の作品です】

 魚の3枚下ろしなどに使いやすい出刃包丁や刺身包丁の場合は片刃付(かたばづけ)鍛造で作られ、一流料理人たちに重宝されているが、こちらはハガネを片方だけに接着させるのが難しいため、修行から永い期間をかけてでようやく一人前になるという。

 材料の鉄には、極軟鋼(ごくなんこう)を使用。柄尻部分はステンレスを接合し、柄腐れを防止する独自の設計となっている。もちろん、接合部分が容易に折れる心配はない。

 「自分の包丁を使ったお客様に台所が楽しいと喜んで使ってもらえるのは、職人冥利に尽きますね」と語るほど、生粋の職人肌である博行さん。現在は東京日本橋や京都の百貨店をはじめとする展示会などに出店して、手打刃物の良さを伝えている。