main_2798.JPG【肥後象がん】
きのした ようこ-熊本市-

1958年熊本市生まれ。武蔵野美術大学卒業後、1980年から彫金やトンボ玉制作を開始。2000年に後継者養成講座の第一期生として本格的に肥後象がんを始める。公募展出品、個展などで活躍

 コミカルで愛嬌のある鬼や魚のモチーフ、優美な唐草のアレンジまで、きのしたようこさんの手にかかれば、身につける人を楽しくさせる魅力的な絵柄やデザインの肥後象がんとなる。幼い頃から工作や絵画が得意で、美大では油絵を専攻。以前から故郷・熊本の伝統工芸である肥後象がんに関心があったものの、当時は学べる場所もなく彫金の世界に飛び込んだのが始まりだったという。「ほかに美術関係の仕事もしていましたので彫金はほとんど独学でしたが、当時は、西部金工研究会で勉強する仲間に恵まれ、公募展などにも出品していました」。

 きのしたさんに転機が訪れたのは、2000年のこと。伝統工芸館で“後継者養成講座”の募集が始まると同時に、迷わず応募。第一期生として肥後象がん師への道を歩み始めた。10年経った今でも仕事の合間に講座や先生のもとへ通い続けながら腕を磨いている。

 「肥後象がんは郷土を代表する伝統技法ですし、鉄地に金や銀を施すことで華やかにも渋くもなる。私は基本的に絵を描きたいので、たとえば縁起の良い物など身に付けると幸せな気持ちになってもらえる作品を作りたいですね」。

 ペンダントトップやブローチなどの装身具を主体に作っているが、最近では香炉などの大きな物にも挑戦している。そのために漆や木工の基礎も勉強してきたというが、すべては象がんを引き立てるため。「せっかく手に入れた肥後象がんをしまい込んでしまうのはもったいない。使わないときは専用の額に飾ってもらえたらと思って」。肥後象がんを全く知らない若者たちにも身につけてもらえるよう、自由な発想とデザインで肥後象がんの新しい境地を開こうと模索中だ。

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▼道具

磨きに使うやすり、布目切り用のタガネ、金属に線やしるしを入れるコンパス、鉄生地を切り出すための糸ノコギリなど

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▼道具

金、銀、青金(金と銀の合金)は板状のもの(左上)をローラーで伸ばして0.8㎜程度にまで薄くして使う(左下)。象がんの裏には真鍮で裏張りをするのが、きのしたさんのこだわりだ

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▼手元

縦・横・斜めに布目を切って金を唐草模様に打ち込んだ後、周りの布目をつぶしていくと、ザラザラした部分がピカピカに

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▼作品

花鳥風月や伝説をモチーフにしたきのしたさんの作品。ブローチやペンダント、帯留めなどにアレンジ自在【※作家さん所有の作品です】