main_4187.JPG天草陶磁器
天草陶磁器 久窯(ひさしがま)
江浦 久志(えうら ひさし)-天草郡天草まち-
1955年熊本県天草市生まれ
佐賀県伊万里市にて澤田 氏に師事、福岡県小石原で民陶を学ぶ
その後、佐賀県有田町「肥前創磁大日窯」にて、染付、上絵を学ぶ
1988年に独立。熊本県伝統工芸館や島田美術館などで個展、グループ展を開催


 「せっかく天草陶石の産地で窯を開いてますので、土のランクに関わりなく、それぞれの持ち味を活かしたくて。」

生まれ育った地元・天草産の原料だけを使い、特等から3等までランク分けされた天草陶石を巧みに使い分けている「久窯」の江浦久志さん。等級が上がるほど純度が高く、光を放つような白磁だが、鉄分などを含むランク下のものは青みがかったグレーの風合いが柔らかくて親しみやすい魅力がある。ほかにも地元で採れる志岐(しき)粘土を使った赤レンガ色の陶器も手がける。いずれも、混ざり物なしの地産地消によるものだ。

 江浦さんは、天草陶石を一大地場産業とする天草市天草町で生まれ育った。父が陶石を採掘する会社に勤めていたこともあり、天草陶石の存在は知っていたものの、焼物の原料ということを知ったのは高校生になってからだったという。もともと手仕事が好きだったこともあり、焼物で有名な伊万里や小石原で修行を重ねた後、地元で窯を開いた。

 天草陶石を使った磁器は、繊細な見た目とは裏腹に強度がある。軽く叩くとカチンカチンと金属音が鳴り、太陽にかざすと皿の向こう側がうっすらと透けて見えるのも特徴だ。

 普段使いできる生活の器を中心に手がける江浦さんだが、手の温もりが伝わるロクロにこだわるため、大量生産は出来ない。工程としては、多種多様なヘラを使い分けながらロクロで成型。成型した素地を自然乾燥させた後、900℃で素焼きし、これに絵付けを施してミカンや木灰と天草陶石などをブレンドした釉薬をかけて、ガス窯で本焼きする。

「伝統的な絵柄を残しつつ、時代を取り入れた新たなカタチや図案を生み出すべく日々思案しています。」

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左 天草陶石(特等) 右 天草陶石(3等)

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釉薬用の天草陶石。手で崩れるほどもろいので器には使えないが、釉薬としてはもってこい。風化した「天草陶長石」長石のかわりとして釉薬に使用(自ら採取する)

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用途に応じて使い分けるふるいや手作りのヘラ、牛の舌に似た牛ベラ、ひょうたんで作ったひょうたんベラなどで成型していく

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高温で丸1日かけて焼締めた白磁の輪花鉢は、透き通るような美しさ【※作家さん所有の作品です】