main_4274.JPG【陶磁器】
天草白磁 陶房 泰
中本 泰博-天草市-

1961年熊本県天草市生まれ。有田工業高校窯業科卒業。2000年天草市天草町に「陶房 泰」を開窯。2001年記念ボトル・デザインコンペ最優秀賞受賞をはじめ、県美展協会賞、同グランプリ、グッドデザイン賞、熊本陶磁器展最優秀賞など受賞歴および入賞歴多数。熊本県美術協会会員、熊本県美術家連盟会員

 海のきらめきを写し取ったように柔らかな波が、白磁の美しさを引き立てる。天草白磁に魅せられ、数々の受賞歴を誇る中本泰博さんが目指しているのは、際立つような白磁の清涼感。

 絵付けを行わず、カタチや色付きの釉薬で最小限の模様を施す。イメージは、工房のすぐそばに広がる天草西海岸の海。「白磁そのものが美しいものですから、出来る限りその良さを引き出したくて」器の表面に彫刻で凹凸を施し、透明釉の上からブルーやピンクの釉薬をかけると、淡い色が彫刻部分に溜まって幻想的な波や渦巻きが浮び上がる。

 父が天草陶石の仕事に携わっていたため、幼い頃から佐賀県有田町を訪ねる機会が多かった。自然に焼物の世界へと入っていったという。主に作っているのは使い勝手の良さそうな鉢や皿、飯碗、コーヒーカップなど。「使っていただく方には、飽きがこないと喜んでもらっています」。特注品として壺や大皿、洗面鉢といった大作の依頼も届く。 

 材料となる天草陶石の粘土は、近隣の陶石会社から純度の高い粘土を用途別に選んで使い分ける。また、白磁を引き立てるため、釉薬は透明が基本。天草陶石を主体に石灰石、長石を混ぜ、これに鉄分のケイ酸鉄などを加えて淡いブルーやピンクの釉へとアレンジする。これだけの“白”を完成させるためにも、一番気を使うのがゴミなどの混入だという。「真っ白な素材なので、鉄粉がわずかに混ざっただけでも目立ってしまいます」。親戚の手伝いがあるものの、焼成の際には一人でガス窯に向かい、夕方から翌日まで18時間かけて焼き上げる。「冬は台風に匹敵するほど強い北西の風が海から吹き付けるため、煙突から必要以上に熱量がもって行かれてしまうので、苦労します」。

 近年取り組み続けてようやく完成したのが、ベースと同じ白磁粘土を釉薬に混ぜてスプレーで吹き付ける艶消し技法。外側の白に表情が生まれ、内側のつるりと輝く白との対比がおもしろい。今後はこの技法を使ったデザインを増やして、白磁の新しい見せ方に挑戦したいと語る中本さん。

 「焼物を始めて20年以上経ちますが、ある程度まで来た今だと初期のアイデアをまた試してみたくて。若い頃はパッとひらめいた技法を思いつきでやったりしましたが、今なら技術が伴っているぶん、やり方も分かる。これからの楽しみですね」

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▼手元

フリーハンドで描いた下絵に沿って、ノコギリ状の小さなカンナで模様を入れる。カンナは、なんと傘の骨を加工したもの

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▼道具

器の表面を削ったり整えたり。常時10本ほどのカンナを使い分ける

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▼材料

工房横には原料の天草陶石が山積みに

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▼作品

吹き釉の艶消しカップと、ブルーの釉薬で海をイメージした七寸平皿
【※作家さん所有の作品です】

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※掲載作品は作家さん所有の作品です。