main_2714.JPG【陶磁器】
天草陶磁器 陶丘工房
末石 昌士-天草市-

1963年鹿児島県出水市生まれ。160年の歴史をもつ丸尾焼で18歳から18年間修行したのちに独立。1999年に陶丘工房を開く

 天草の海や田園風景が広がる小高い丘の上に、陶丘工房はある。海からの心地よい風が風鈴の音を奏で、木漏れ日が降り注ぐテラスでは愛猫が居眠りをしている…。ゆっくりと時を刻むこの場所で育まれた作品は、土味を生かしたシンプルな日用雑器たち。洗練されているのに温かみがあり、カップ一つとっても深さや口の広さ、持ち手の大きさのバランスがよく計算されている。焼物と向き合う末石昌士さんもまた、作風と同様におおらかな人だ。18歳から天草の窯元で18年間働きながら、窯を開く場所を探した。そして、理想の場所で開窯の夢を果たした。

 生地となる粘土は、天草苓北の土をベースに鉄分や土味を足すために唐津や美濃の土をブレンドして使う。これに白化粧を施すとベースの土が薄く浮び上がり、柔らかな質感を生み出す。末石さんの技法は、粘土の塊を回転させながら成形するロクロ作りや板状の粘土を貼り合わせたり型に押し当てて成形するたたら作りが中心。常に心がけていることがあるという。「自分でもほかの人の器を使うことがありますが、ついでに買った器のほうが使い勝手が良かったりするんですよ。見た目はシンプルだけど、使ってみるといい。そんな作品を目指しています」

 焼物の場合、火の加減や時間にも仕上がりが左右されるため、思い通りの器が仕上がることは少ないという。「新しい作品に取り組むとき、イメージが先行してしまって、でき上がったあとに“もっと良いものができたはず”なんてことはよくあります」。
 現在、新たに目指しているのが、瑠璃色の器。コバルトを釉薬に混ぜて引き出した色は、現在完成した器で見ると目が覚めるように鮮やかで十分に美しい。しかし末石さんは、今までの焼物と同様に落ち着いたトーンを完成させたいという。モノ作りの意味を自分に問いかけながら、器を通して多くの人と関わり、ともに喜びを感じたい…。そんな思いを込めて、今日も土と向き合っていることだろう。

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▼道具

星や月など、たたら作りに使う型は石膏で手作り。手前は成形に用いる叩きしめ棒、印立てにはビールの空き瓶を利用

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▼景色

工房の窓からは海や田園風景を一望

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晴天の日に1日かけて天日干し。ガス窯を使い、月2回のペースで焼いていく

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▼作品

白化粧の下から透けて見える土の風合いが素朴で優しいティーカップとポット
【※作家さん所有の作品です】