main_1640.JPG小代焼
たけみや窯(旧:健軍窯)
近重 眞二-上益城郡-
1954年熊本県生まれ。22歳から陶芸の道を歩み始め、小代焼を復興させた祖父・治太郎さん、父の真さんに続く3代目となる。日常使いの生活用品を中心に、使いやすさに配慮した作品づくりを心がけている

小代焼は、明治維新後に細川藩の庇護を断たれると窯元が次々に廃業し、一旦はその火が途絶えてしまう。しかし、この貴重な焼物文化を復興すべく、昭和6年に現在の熊本市健軍で健軍(たけみや)窯立ち上げたのが初代・近重治太郎さんだった。現在3代目を継ぐ近重眞二さんは、22歳でこの道へ。兄の眞純さんをはじめ、母親や奥様と家族で力を合わせて仕事に取り組んでいる。「家業だったので遊びながら仕事を手伝っていました。中学生になるとロクロで湯のみ程度は作っていましたね。」


小代焼は一見すると、どっしりと豪快ながら、手に持つと素朴な温かみがあって味わい深い。釉薬のかけ具合や焼き上げ温度の微妙な違いによって一つひとつ模様は異なるが、複雑かつ個性的な色や模様を描き出すもととなるのが、ワラ灰、木灰、長石(ちょうせき)を調合したワラ灰釉だ。

 県内3カ所から取り寄せて調合した土を使い、ロクロを回しながら成形。このときに土を軽く叩き、音の響き具合で厚みを判断する。ほどよい堅さに乾燥させたあと、700〜800℃の窯で素焼きして釉薬を掛けると、砂漠に水をかけたように器が釉薬を吸い取っていく。そしてようやく本焼きへと移り、今度は1250℃程度の熱で一昼夜かけて焼き上げる。窯を開けるまではどんな色や模様が出るか分からないため、満足いく色合いに焼き上がったときは疲れも忘れてしまうという。
 生活様式の変化にあわせて作品内容も変わり、現在おもに作っているのは日常使いの生活用品。近年だとパスタ皿やフリーカップなどが若い人を中心に喜ばれているが、持ち手の握りやすさや注ぎ口の角度など、どれもが使い手の身になって考えられている。

 「この焼物を使って下さったお客様から“使いやすいよ”という声をいただくと、心からやりがいを感じますね。いつか娘たちの誰かが継ぎたいといってくれれば嬉しいですが、こればかりは押しつけはできないし。私の場合は、幼いころから今まで小代焼への興味は尽きません。」

 毎年2月には初窯開きが行われていて、通常は立ち入ることができない工房にも作品が展示される。

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成形や模様入れに用いるヘラ、カンナなどはすべて手作り

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工房には2つの窯があり、棚板に窯いっぱいになるまで作品を並べて焼きあげる

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大人がすっぽり入るほどの大きなカメの中には、独自に配合した釉薬が。手間はかかるが、手作りにしか出せない味わいが生まれる

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膝丈ほどある大きな花瓶は、3日がかりで完成。釉薬の重なり具合が自然な美しさを生み出している
【※作家さん所有の作品です】