main_5267.JPG小代焼
小代 瑞穂窯
福田 るい-荒尾市-
1964年福岡県大牟田市生まれ。九州産業大学芸術学部美術科卒業。「小代 瑞穂窯」で作陶後、益子で島岡達三氏に師事。帰郷後、再び熊本県荒尾市で父豊水氏とともに作陶を開始。現在、独自の技法を追究し、熊本、福岡、大阪、神戸、東京、ドイツなどで展示会を開催

 江戸時代に作られていた小代焼の礎、古小代の再現に挑む父の背中を見て育った福田るいさん。父亡き後に「小代瑞穂窯」を受け継ぎ、昔ながらの特徴と技法を生かしつつも独自の焼成法を取り入れ、現代の生活に合った器を作り続けている。

 大学時代には油絵を学んだが、平面よりも立体的な造形に興味をもつようになり、島岡製陶所で修行したのち、瑞穂窯作陶し現在に至る。 

 小岱山麓で約400年前から焼き続けられてきた小代焼は、2003年に国の「伝統的工芸品」に指定。鉄分の多い小岱粘土を使った、素朴で力強い作風が特徴だ。釉薬の調合や焼成温度の違いによって青、白、黄に大別されるが、実際目にすると千差万別。さらに福田さんの場合、ワラ灰で生み出した独自の「藍釉」も大きな特徴だ。従来の青小代は乳白色を帯びているが、福田さんが創り出す藍は、さらなる深みがある。そしてもう一つの特徴といえるのが、“しのぎ”の技法。小代焼といえば“打ち掛け”のように釉薬のかかり具合を生かした技法が多いが、“しのぎ”の技法だと掻き道具を使って器の表面を削り、削られた部分に沿って流れ落ちる釉薬によって文様が浮び上がる。器にリズムが生まれ、和洋問わず食卓を彩ってくれるデザインだ。

「文様を生かすため、たとえば茶碗だと深みをもたせて高台の部分を区切らないなど工夫しています。持ちやすいので、評判も良いんです。」

 収納スペースが限られている今のライフスタイルだからこそ、福田さんの器は、用途を限定するような縛りがない。

「1個の器をいろんな用途に使い回してもいいと思うんです。使いやすい形を提供しますが、それを完成させるのは使って下さる方。毎日使い込むことで風合いが出てきますから、ご自分の色にしていただきたいですね。」

 軽快な口調で「どんどん迷ってお気に入りを見つけていただきたい。想像力を膨らませて、使い方を自分で考えてもらう。お客様を甘やかしませんよ」と笑う福田さん。

 シンプルでいて温かみのある土味を生かした器は、使うほどに魅力を増していきそうだ。



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しのぎ(左の4本)の隣りはレース編み棒と櫛目。それぞれで器に模様を入れる。右は器の大きさを決めるトンボやしっぴき、ヘラ、なめし革など基本の道具

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近隣の山から採れた土で作られた粘土をブレンドして使う

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しのぎで削った文様に沿って釉薬が表情を生み出す皿や湯のみ。青小代より深い“藍釉”は、福田さん独自の小代カラー【※作家さん所有の作品です】