熊本の工芸家紹介

main-y_2500.JPG小代焼(しょうだいやき)
太郎窯(たろうがま)
福田 安(ふくだやすし)-荒尾市-
1947年熊本県上益城郡矢部町(現山都町)生まれ
親和陶磁器(佐賀県西松浦郡有田町)で働いた後、山口県萩焼窯元・渡辺栄泉氏に師事
1970年から小代焼ふもと窯の井上泰秋氏に師事、1985年に荒尾市平山で「小代焼太郎窯」を開窯
1987年西日本陶芸展入賞ほか入賞・入選多数
荒尾市地域産業交流支援館 小岱工芸館館長を3期務める

main-e_2485.JPG【小代焼(しょうだいやき)】
太郎窯(たろうがま)
西島 悦子(にしじまえつこ)-荒尾市-
1978年生まれ
陶芸を志し1994年国立有明高専を4年の時に中退し、父に師事
滋賀県にある陶芸の森にて研修
荒尾市にある小岱工芸館にて10年間陶芸教室の指導講師を務める(1999~2008)
後継者グループ「青匠会」会員
「自分の器で心がホッと和むひとときを演出できればと思っています。」

 妻・和子さん、娘・悦子さんとともに、それぞれの個性を生かした小代焼を作っている「太郎窯」の窯元、福田安さん。高校卒業後、有田で焼物の基礎を勉強した後、割烹用の器を創る会社へ就職。「有田焼は分業制が確立されていたため、モノ作りを一からしたかった私には物足りなくて」。偶然目にした萩焼が転機となり、山口県萩市で3年間、焼物のいろはを学んだ。帰郷後は小代焼ふもと窯で修行を重ねながら数々の展覧会に出品。買い手の反応を通して独立する自信が出来たという。窯を開く場所を探し歩き、小岱山の南西に位置する場所に「太郎窯」を開いて、2010年で25年を迎えた。

 現在は安さんがロクロを回し、和子さんは板状に伸ばした粘土を型にあわせたり張り合わせる“たたら”や“ひもづくり”を担当。娘・悦子さんはその両方を使い分ける。

「やめようとか別の仕事をしようと思ったことはないですよ」という娘・悦子さんは、滋賀で陶芸を学んだ後、父に師事。現在は子育てとの両立をはかりながら陶芸を続けている。



dougu_2508.JPG

木製の平たいコテは皿などの平たいものに、細長い柄ゴテは口から手の届かない壺や花瓶作りに用いる

temoto_2524.JPG

成形前に行う菊もみ。菊の花状態に粘土をもみながら空気を抜き、土を均等な固さにしていく。一人前になるまで3年はかかるという

sakuhin_2515.JPG

(左奥から)白化粧をした安さんの花瓶、妻・和子さんのランプシェード、娘・悦子さんのコンポート【※作家さん所有の作品です】

kama_2519.JPG

3shot_2484.JPG

 土は鉄分を多く含む近くの土地のものと、割れを防ぐために天草陶石などを混ぜているが、粘土作りももちろんすべて手作業だ。窯は大口と3つの間からなる登り窯で、下段の両側から薪をくべていくと足下に掘られたトンネルからの空気で熱が循環し、上の窯へと移動していく。この余熱を利用しながら効率よく焼成していく。

 小代焼の場合、土も釉薬も急熱・急冷ができないため、本焼きに40~50時間を要する。燃料となる薪には、油分を多く含み火力が強い国産の松が適しているため、太郎窯では解体された家の廃材を利用している。焼成後に残った灰や冬の薪ストーブの灰を釉薬に有効利用するため、エコにも貢献しているわけだ。薪を使用すると灰が飛散して作品に降りかかり、灰釉となって自然なアクセントを生み出す。

 最近、安さんが手がけているのは白化粧を施した食器。特別に配合した釉薬をかけると、ヴェールをかけたように淡白く上品な光沢が生まれる。

 「自分が思ったようなカタチができて、お客様が気に入って買ってくれるときが一番嬉しいです」と語る安さんは、満面の笑顔になっていた。