main_5920.JPG【陶磁器】
松風焼 野田窯
野田義昭-南関町-

1957年南関町生まれ、1983年から作陶を開始。1984年から1年間、韓国で修行。帰国後、兵庫県芦屋市の滴翠(てきすい)美術館陶芸研究所を経て、陶芸全般を3年間学ぶ。熊本県伝統工芸館での個展をはじめ、地元・荒尾や玉名の陶芸家とのグループ展など

 その始まりは嘉永年間、小代焼葛城窯で学んだ野田廣吉が玉名都南関町で「松風焼」として登り窯を開いた。昭和12年に一旦は閉窯となったが、先代が残した文献や作品を頼りに窯を再興させたのが7代目となる野田義昭さん。

 「ずっと手仕事が好きでしたし、先祖が残した窯には幼いころから馴染みがありましたから」。韓国と兵庫県へ渡って焼物の基礎や技術を身につけ、帰郷。現在は地元・南関町を代表する小代焼(しょうだいやき)の中の一つ、青小代を軸に食器類を手がけているが、依頼があれば壁用の陶板や洗面台といった、陶器製インテリアのオーダーメイドにも応じてくれる。

 器の表面に型押しで文様をつける印花(いんか)、線彫りや印押し部分に象嵌(ぞうがん)を施す三島手など、古来から伝わる技法を現代の器と融合。野性味のある土色をワラ灰釉の白が覆った霧がかった景色は、なんともいえない侘び寂び(わびさび)世界を醸し出す。


 粘土は、地元の山で採った土と耐火度の高い土をブレンド。外側をコーティングする釉薬の材料にはワラ灰や竹灰、工房の薪ストーブで出来た灰を有効活用。手に持って使う湯のみは重すぎず、目で楽しむ花器には適度な重量感をもたせて。それぞれの用途によって、見た目と重さのバランスが計算されている。「関西に住む義母がお茶の先生ということもあり、今後は茶陶にも力を入れてみたいですね」。一人で作陶に励みつつ、県内外での展示会などにも意欲的に出品。工房のすぐ目の前にある南関高校では週2回、生徒たちに陶芸を教えていたりと、多忙な毎日を過ごす野田さん。

 色味をおさえた作風は男性的にも見えるが、彩りの良い料理を盛りつけたときは名脇役となる姿が想像できる。これこそ日常食器の理想形といえるだろう。

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▼ 材料

自ら掘って来た土をベースに、赤みを出すベンガラなどをブレンド。外側をコーティングする釉薬には天草陶石を砕いて使用

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▼ 道具

印花の道具や器の直径と深さを決めるトンボ、クシ目を入れる道具など、使い勝手にあわせててづくり

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▼ 作品

土肌と灰釉の白が混ざり合い、青小代の小皿や小鉢、小花を象嵌した手塩皿
【※作家さん所有の作品です】

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作陶風景