main_2182.JPG【陶磁器】
松風焼 野田窯
福山 宏-阿蘇郡西原村-

1959年玉名郡南関町生まれ。1986年阿蘇青磁窯に勤務後、窯元天(SORA)を開く。2000年からオカリナ制作を開始

 山林に囲まれた阿蘇郡西原村に福山宏さんが工房を構えたのは16年前。現在は娘・ほたるさんと奥様の3人で制作活動を行っている。

 陶芸とは縁のない家に育ったが、学校卒業後は鳥栖や神戸の窯元で修行をしながら青磁や焼締といったさまざまな焼き方を学んだ。

「僕の作風は年々変わるんですよ、思いつきで作っているから(笑)。最近は白泥を化粧掛けして焼く粉引(こひき)などのやり方を通してきましたが、陶芸を始めた当時のやり方に回帰しようかと考えています。」

そう語る福山さんが10年以上前から食器などと並行して力を入れているのが、楽器のオカリナづくりだ。急須などに用いられる朱泥(しゅでい)土を使い、年間100〜150本近くを制作する。

 「阿蘇在住の“Viento(ビエント)”というアーティストがいるんですが、彼らが音楽活動を始めたのと私が窯を開いたのが、同じ頃。当時、趣味で作っていたオカリナを見せたら褒めてもらえて(笑)。彼らのライブで販売してもらったのが始まりですね。」

最初は、安価なプラスチックのオカリナを分解しながら見よう見まねで作り始めることからスタートしたそう。

 平らにした粘土の中に木製の内型を包み、ある部分をカットして木型を取り出し、再び接合。指穴などを彫りながら成形していく。

「0.1ミリ単位で刃先を入れてカタチや指穴を整え、音階の測定器で判断しながら、微妙な音の調整を行います。」

 オカリナは成形する過程で縮んで小さくなるため、最終的なサイズをあらかじめ想定しておく必要もある。

 「焼き上がらないと音の完成度は分からないので、失敗作の破片は山のよう。キズ一つなくても、音が少しでも狂っていたらおしまいです。音の高さにはC管やG管など色々ありますが、同じC管のオカリナを作っても、厚みや大きさを少し変えただけで音は微妙に違ってくる。そこがおもしろさでもありますね。」

 試しに吹いてもらった音色は透みきった小鳥の歌声のように美しく、まっすぐと伸びやかで心の中までしみ渡っていった。完成度の高さを聞きつけ、遠くは大阪から買い求めに訪れる人もいるほど。今後は、阿蘇の土を使ってオカリナを作ってみたいという夢がある。

「つねに“今がベスト”だと思っています。5年後に今の僕の作品を見たとき、“なんだこれは?”と思うかもしれませんけど(笑)。」


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道具

左手前から木製の内型、吹き口用の型。指穴を削るメスは、手術のオペに使われるものを応用したもの。奥は、音程を測定するためのクロマティックチューナー

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▼作品1

手前からオカリナ、蓋物、酒器。中央の入れ物に描かれたかわいい像は、娘・ほたるさんによる共作【※作家さん所有の作品です】

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▼作品2

娘のほたるさんの作品。3センチほどの小さな粘土パーツに細かな絵柄が施されている【※作家さん所有の作品です】