main_3878.JPG【陶磁器】
泗水直子窯
福吉 直子-菊池市-
鹿児島県生まれ。鹿児島女子短期大学卒業後、1982年熊本県工業試験場窯業科で陶芸を学ぶ。1985年菊池市泗水町で開窯。くらしの工芸展、熊日総合展入選。1989年以降、西部工芸展で5回入選。熊日ニューギャラリーで個展を開催

 菊池市泗水町で、食器を中心とする焼物づくりに取り組む福吉直子さん。焼物を志すきっかけとなった兄で陶芸家の浩一さんと同じ場所で工房を構えるが、その作風はまったく異なる。

「野の花が好きで器に描いてみたいと思い、上絵付けの手法を学びました。通常は素焼きの後、呉須やベンガラといった顔料を施して釉薬をかけ、本焼きすれば終了ですが、私の場合はさらに上絵付けと焼き付けの作業が加わります。」

赤、黄、紫、青、緑という透明感のある5色を基本とし、素朴な土色を残す茶碗や湯のみにかわいらしい野の花を彩色していく。本焼きの後に絵付けをするため、絵の部分に軽く触れると、薄く盛り上がっているのが分かる。この手法は石川県の九谷焼や佐賀県の有田焼で用いられているが、手間がかかるため、熊本では珍しい。

 粘土は白土と赤土をブレンドしたものを使い、絵柄がより映えるようにと泥状の化粧土で表面に白化粧を施す。ろくろやたたら作りで成型した粘土は、柔らかいうちに線彫りで絵柄の輪郭を彫って素焼きに。それから本焼き、上絵付けをして、最後に再び焼き上げる。

 絵付けをする際は、心穏やかにと心がけている。

「忙しいと、つい気が急いてしまうので、工房を掃除したり庭を散歩してみたり。ほんの些細なことですが、ひと呼吸置いて気持ちを切り替えるようにしています。」

こうして彩色を終えた器は窯に詰められていくが、窯内の置き位置や焼く温度の加減によって発色が変わるため、どれだけ経験を積んでも気を使うという。

「一回ごとに焼上がりは違いますが、とくに皿の場合は窯内で炎の通り道を塞ぎやすいため、色ムラが出ることもあるんです。」
上絵付け以外にも、鮮やかなコバルトをスプレーで吹き付けた大皿など、さまざまな取り組みに挑戦している。


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素地が柔らかいうちに線彫りで輪郭を描いていく

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右は線彫り用の針とハケ。左は絵付け用の筆とダミ筆

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スケッチブックに描いた見本は、定番が12種類ほど

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粉状の顔料を水やフノリで溶いて使う。乳鉢と乳棒も手作り

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可憐な野の花を描いた茶碗や小皿、カップに一輪差し【※作家さん所有の作品です】