main_6473.JPG【陶磁器】
西照寺窯(さいしょうじがま)
林 清治-熊本県-

1948年長崎市生まれ。サラリーマン時代から陶芸倶楽部を発足させ、作陶。九州山口陶磁展、西部工芸展、西日本陶芸美術展、ながさき陶磁展などに複数回入選・入賞。福岡の百貨店やギャラリーで個展開催など。2005年に会社を退職後、本格的に焼物づくりに専念。陶芸教室も開いている

 白を基調にしたワラ灰釉と、長石(ちょうせき)を主体とした白釉。2つの“白”を焼物で表現してきた「西照寺窯」の林清治さん。工房の展示室には大皿や重厚な趣の抹茶碗から小鉢や湯のみ、ぐい飲みといった日常の食器類までが所狭しと並ぶ。

 小学校の授業で経験した楽焼の窯の雰囲気がずっと忘れられず、24歳のときに焼物を始めようと決意。当時勤めていた会社の上司と一緒に陶芸倶楽部を立ち上げ、2005年から本格的に焼物の道に専念している。近年は“白”に加えて、阿蘇で採れるリモナイトという黄土を使い、焼成の方法によって黒や緑、茶色、青といった色を生み出している。もともと会社ではセラミックの開発をしていたこともあり、土づくりの研究には並々ならぬ力を注いできた。「土はどこでも採れるもの。普通の土には粘りがありませんから、粒子の細かな土をどれだけか混ぜれば粘りが出ます。そんなことを追究していくと、あらゆる土が原料となるわけです」。

 ガス窯を使い、月1回というハイペースで窯を焼き続けてきた。「僕は24時間営業ですから。寝るなんて贅沢なことはしません」と冗談まじりに笑うが、人並み以上の努力を重ねた結果、公募展での連続入賞へと繋がったことは言うまでもない。サラリーマン時代はフルタイムで働き、その前後に同じだけの時間を焼物のために費やしてきた。「あるときは毎日図書館へ通い、新旧の焼物について調べました。そして分かったことといえば、結局デザインとは誰かがどこかで既に完成させたものの繰り返しだということ。Simple is the best(シンプル・イズ・ザ・ベスト)なのだと感じました」。

 少し前に血管系の病気で体調を崩し、2年間は治療に専念。現在は復帰して、再び作陶に励んでいる。「心がけているのは、口当たりの良さ。小鉢や湯のみなど、日本人が使う器は口を付けるものが多いんですよ。茶道具ではそれを“甘い”と表現します。飲みやすく、使いやすく、洗いやすい。ピカピカのきらびやかさよりも、しっとりとした美しさ。使って豊かな気持ちになっていただける作品を目指したいですね」。


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▼材料

絵付けに用いるベンガラ(鉄)。焼き上がると紅葉が枯れる前のような味わい深い色に

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▼道具

(手前から)手作りのエゴテ、牛べラ、ヘラ

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▼作品

(手前から時計回りに)ワラ白の酸化焼成による高台の盃、酸化焼成による海鼠釉(なまこゆう)の酒器、ロクロ目を残した撥(ばち)高台の湯のみ【※作家さん所有の作品です】