IMG_5698.JPG【陶磁器】
陶房立神峡(とうぼうたてがみきょう)
平木 孝幸(ひらき たかゆき)-八代郡氷川町-
1963年八代郡東陽村(現八代市東陽町)生まれ。1979年有田工業高校窯業科入学、1982年九州産業大学芸術学部デザイン科入学。1984年愛知県瀬戸市の加藤舜陶氏に師事、1994年独立。朝日陶芸展、日本新工芸展、中日国際陶芸展、豊田美術展、中日ビエンナーレ展、日展入選。瀬戸市長展市長賞、愛知県文連美術展奨励賞入賞など

 八代郡氷川町を流れる氷川のほとり、岸壁と渓谷が美しい立神峡公園。ときにはタヌキやウサギ、鹿なども現れるのどかな公園内に陶芸家・平木孝幸さんの窯はある。もともとは絵画の道を目指そうとした平木さんだが、父親が買ってきた備前焼のおもしろさに惹かれ、焼物を学ぶため佐賀県の高校へと進学。日展評議員だった加藤舜陶氏のもとで焼物の技術を学び、今日まで手抜きをしない丁寧な仕事を心がけてきた。食器や花器、茶道具など生活に密着しつつ、ちょっとだけ非日常的な贅沢を感じてもらえる作品を作っている。

 平木さんの焼き方は、大きく分けると2つ。青みや緑がかったやわらかな風合いが現れる灰釉(はいゆう)の器は、ホタル技法を用いる。透かし彫りした文様に流れ落ちにくい釉薬を詰めて焼くと、ガラス質がそのまま留まってステンドグラスのようだ。そして、もう一つは釉薬を使わない焼締(やきしめ)。下書きなどは行わず、成型した胎土にフリーハンドで透かし彫りをしていくランプスタンドや香炉(こうろ)は、灯りをともすと幻想的な陰影が非日常の世界へと一変させる。

 一方、同じ焼締でもカップなどの器になると、ひと味違う。信楽の土を数種類ブレンドした粘土で器を成型し、窯の中にさやを入れて炭や塩と一緒に焼成すると、ブロンズのような、なんともいえない光沢が生まれる。

 「今はガス窯ですが、ずいぶん前から準備している薪窯(まきがま)を造って、焼き締めらしい焼き締めを創るのが目標です。」

 あえて、定番は作らないという。故に、アイデアを練る作業に最も時間がかかり、決まってしまえば一気に作業へと邁進する。

「彫刻や自然を見たりして、焼物とは直接関係のないものからインスピレーションを得ています。」

気さくに会話をしながら作業の様子を見せてもらったが、出来上がった作品のどれもが素人目に見ても品が良く、技術の高さがうかがえる。手のひらサイズから、壁の高さをいっぱいに使うオブジェまで。大きさに関係なく“平木ワールド”に魅了されるはずだ。

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急須のフタ部分を作り込んでいく

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彫り物用のナイフにポンス、直径を測る道具、ヘラ、コテ、しっぴきなど。自分の手にあわせて使いやすく手作り

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鉄分を多くするため、ベンガラを混ぜた土や釉薬を使用。作業で手に付着した土は再生させて使い切る

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(手前から)内側に灰釉(はいゆう)を施した焼締のカップ、焼物の温かさと釉薬の透明感が美しく調和するコーヒーカップ。ランプスタンドの幻想的な光は部屋をムーディーに一変してくれる
【※作家さん所有の作品です】