【陶磁器】
阿蘇 久木野窯
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イビイnoriaki(伊比井 宣明)-南阿蘇村-
1955生まれ。熊本県工業試験場で窯業研修後、佐賀県唐津焼・中島紀文氏へ師事。1985年に阿蘇郡久木野村(現南阿蘇村)へ築窯。熊本総合美術展および西部工芸展に連続入選ほか、1993年草月花の器ビエンナーレ展、2002年南風の生活文化展など入選多数

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伊比井 万貴-南阿蘇村-
1956年生まれ。熊本県工業試験場で窯業研修、佐賀県有田町窯業試験場で染付研修後、有田町大日窯久保徹氏に師事。夫宣明氏と築窯。九州山口陶磁展・産業陶磁器部で熊本放送賞、肥後大津女流陶芸展準グランプリ受賞など。

  熊本県工業試験場で知り合い、現在は南阿蘇の工房でそれぞれが陶芸家として活躍する伊比井宣明さん・万貴さんご夫妻。


 宣明さんの作品は土ものが中心だが、最近は2種以上の色釉で染め分ける“三彩(さんさい)”と、発色の異なる粘土を重ねて模様化した“練り込み”を主に作っている。
 一方、万貴さんの作品の特徴は“染め付け”。

「青一色で描かれた古伊万里皿の色がずっと心に残っていて。染め付けを集中して勉強するため、有田へ行きました。」

通常は磁器に絵を描くことが多いが、万貴さんが描くのは土。
「“炎の効果”が伝わりやすいし、発色自体が柔らかになるんです。土の鉄分や粗さによって絵の表情も変化していきますし、焼物なので、最終的に焼き上がってみないと分からない。絵自体が台なしになることもあるため怖い部分もありますが、そこがおもしろさでもありますね。」


「基本的にはそれぞれで制作していますが、展示会を開くときには共作することもあります。ただし、お互いの作品に口出しをしない。干渉し合ってぶつかることもありましたが、20年近くかけてようやく構築されたわけです。」
と、宣明さんは語る。

「でも、それが新鮮で。自分では思いつかない造形に絵付けするのが、おもしろいんですよ。」
と万貴さん。

 宣明さんは今後、陶板などのオブジェにも取り組んでいきたいと語る。
「金属などの異なる素材を組み合わせて焼物の可能性を広げたいですね。」

 万貴さんのほうは、
「物語性を感じさせる図案に取り組んでみたいです。連続模様や独特の中間色など、昔から日本に伝わる洗練された絵柄が好きで。古人のすばらしい作品を参考にしながら、時代にあったものを描いていけたら。」

ほどよい距離感を保つ2人の関係が、絶え間ない創作意欲へとつながっているように見えた。



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デッサン用の木炭をすりつぶして粉状にし、水溶きして紙に描いた後、器に合わせて絵の配置を決める

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酸化コバルトを原料とする、染め付け用の“呉須(ごす)”で描いていく。陶板を制作中だったが、これを焼くと落ち着いた風合いになるそう

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宣明さんが仕込んだ練り込みの粘土。鉄分の異なる粘土を重ね合わせ、一度寝かせることで模様同士を離れにくくする

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宣明さんの作品。練り込み技法で幾何学模様を描いたポットと三彩の茶碗
【※作家さん所有の作品です】

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桜やウサギを描いた万貴さんの皿。素朴な土味が磁器にはない表情を与える
【※作家さん所有の作品です】