main_4541.JPG【陶磁器】
古沙手窯
犬童 又郎(いんどう またろう)-人吉市-
1950年人吉市生まれ。1975年石川県金沢市の伊豆蔵寿郎氏に師事。1979年人吉市で開窯。1981年県美展や熊日総合美術展入選以降、西部工芸展入選・入賞(複数回)、日本伝統工芸展入選(複数回)など、数々の公募展で活躍している。日本工芸会正会員

  まるで永い時を経たキャンバス画のように、セピアがかった印象的な器。田畑に囲まれた人吉市内の工房で『古沙手窯』を営む犬童又郎さんは、忙しそうに庭先を動き回っていた。久しぶりの好天となった日中のうちに、釉薬をかけては乾かすという作業の真っ最中だ。

 犬童さんの作品は天目釉(てんもくゆう)と呼ばれる黒い釉薬をかけて一度焼き、その上から違う釉薬をかけて再び焼成。二度目の釉薬をかけ焼いたときの収縮によって亀裂が生まれ、文様となって見えるのが特徴だ。最初にかける天目釉の“黒”のもととなるのは、釉薬に10%ほど混ぜた鉄分。これをかけて焼いた黒い器の上に、スプレーガンで二度目の釉薬を噴き付けては乾かす作業を4回繰り返す。自家製のもみ殻灰やワラ灰など釉薬の原料を変えることで、青、黄色、白といった色の変化をもたせている。

 そもそも犬童さんが作陶の道へ進んだのは25歳のころ。熊本大学を中退して上京、好きだった美術館巡りをするうちに焼物への関心が高まっていった。石川県で活躍していた陶芸家のもとで4年間修行して帰郷し、独立。当初から天目釉の作品を作っていたが、当時は従来からある天目釉の一種であった。

「たまたま試したやり方がおもしろい変化を起こし、それに新しい技法を加えながら今日まできました。」

 天目釉で焼いた表面に糸を張ってワラ灰釉をかけて糸目に天目釉の黒を残す「天目線文」や、天目釉に白と藍色の釉薬をかけた「天目地二彩縞文」など、独自の文様を追究してきた犬童さん。

「新しい釉薬やカタチなど、これからも新しいものに挑戦していきたいですね。」



古沙手窯.jpg

▼ 作品
湯呑、花入れ、コーヒーカップ

【※作家さん所有の作品です】