熊本の工芸家紹介

fuufu_4342.JPG【陶磁器】
幻窯genyo(げんよう)
政岡 雄-合志市-
1951年鹿児島県生まれ。1974年明治大学中退後、1978年から陶芸の道へ。1984年栃木県益子町、1985年愛知県瀬戸市で修行。1986年スペイン・グラナダの山村で作陶、1987年熊本で新窯を開く

安藤恵理子
1976年熊本市生まれ。1994年熊本第二高校卒業美術科卒業後、1996年九州造形短大クラフト科卒業。1998年PEACE BOATで世界周遊、1999年幻窯のスタッフに

 学生時代から焼物に興味があり、栃木県の益子焼など窯元巡りをしていたという政岡雄さん。その後、栃木県や愛知県の窯元で修行を重ねた後、スペインへ。

「いずれは故郷で窯を開こうと思っていましたが、その前に異国文化の焼物をやってみたくて。年月は経ちましたが、スペインでの経験が今の作品に活きています。」

薪窯を使った食器などの焼物に加え、10年ほど前からは、自宅用のパエジャ鍋をきっかけに“わが家の暮らしから生まれた土鍋”を制作。

「家で薪ストーブを使っていたので、自然に薪ストーブで料理が出来るような土鍋を作ってみたくなったんです。」

現在は作品の大半が土鍋で、その種類は30種類以上を数える。お湯を沸かす直火ポットに炊飯用のご飯鍋…。どれも自分たちの生活で必要だったものを試作品として作り、数年使い続けてみて割れないという実証ができた時点でようやく商品化するという。

「毎日の料理で使うものだから、実際に何年も使ってみても水漏れや割れたりしないという確証がないと商品にはしません」。

 土鍋用の土を、ロクロやたたら作りで成型した後、電気窯を使って素焼きに。その後、水漏れがしないよう内側にだけ透明の釉薬をかけ、薪窯で30時間以上かけて本焼き。保温性を考慮して器にある程度の厚みをもたせること、割れを防ぐために低温で焼くことがポイントだ。

 薪で焼成した土鍋は、一年を通じて使えるやわらかな炎色。薪灰のかかり具合や炎の流れで一つひとつ表情の違う土鍋が生まれる。幻窯では薪の中でも高級といわれる赤松を特別に分けてもらい使っているが、小屋いっぱいの薪が一回の焼成ですべてなくなるという。7、8月はひたすら大量の薪を調達したり薪割りを行い、9〜3月にかけて作品づくりに取り組んでいる。

 具だくさんスープにスモークチーズ…。土鍋で作った料理は、そのまま食器として食卓に並べることができる。なかでも人気のミニフライパンは一見、小さな角皿のようだが、海老のオイル煮やグラタン、パウンドケーキなど幅広い料理に活躍してくれる。最初にスタッフとして入った奥様の恵里子さんは制作の約半分を手がけるほか、土鍋を使って料理を試作したりと、公私ともに良きパートナーとして活躍。取材したときも土鍋で作ったフルーツケーキを振る舞ってもらい、工房には温かな笑顔が溢れていた。

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食器用の土は、霜降り肉のような桜色が良い土の証し

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器の寸法を決めるトンボや器の口を整えるカンナ、表面を整える木ゴテ、カップに取手を接着するための刷毛など

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1年以上使っているというスモーク鍋は、いい具合に貫入が入って味わい深い
【※作家さん所有の作品です】

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オーブントースターにぴったり収まる土鍋のトースタープレートはケーキやオーブン焼にもってこい。コーヒーポット4点セットはドリッパーや受け皿付き
【※作家さん所有の作品です】