main_4305.JPG【陶磁器】
工房有紗(ありさ)
元田翔子-菊池市-
1961年熊本県菊池市生まれ。
1995年に陶芸の道を志し、修行ののち1999年に有紗窯を開く。
野の花をモチーフにした花の器を展示販売。

 日当りの良い山の中腹で、人懐っこい愛犬とともに作陶に励む元田翔子さん。水引・桜・ドクダミ・露草・アザミなど、工房のまわりに咲く季節の野花をモチーフにした花の器を制作展示販売をしている。湯のみやご飯茶碗、箸置き、コーヒーカップなど日常使いの器が中心。女性らしい柔らかな彩りのものが多いが、同じコスモスの図案でもピンクや紫など、気分によって絵の具の色を使い分けるので違った印象を受ける。「だって、作っているほうも楽しみながら作りたいでしょ。」と明るく笑う元田さん。また、元田さんは内側に絵柄をしていく。「お茶を飲み干したり、ご飯を食べ終わったとき、絵柄が見えたら楽しいから。深さのある器に描いてほしいと頼まれることがありますが、手の届く限り(笑)、対応しています」。

 土は、赤みがある唐津のものをベースに白土をブレンド。きめ細かな粘土を真空土練機で自ら製造している。この粘土を使い、茶碗や湯のみには器を回転させながら成型するロクロひき、皿などの平たいものは型に当てて作るたたらなどで素地となる器を制作。出来た素地に化粧土を施し、その後、干して適度に水分を飛ばし、白い化粧土が乾燥しかかったところを掻き落とすように、尖った棒で模様を描く。すると化粧土を掻き落としたところから赤土が表れ、輪郭がはっきりと浮び上がる。これを素焼きした後、陶芸用の絵の具で花びらや葉の1枚1枚を描いて釉薬をかけ、本焼きに。工房にはガス窯2基と薪用の穴釜が1基。用途によって使い分けているが、絵付けの美しさを出すためガス窯で温度を管理しながら酸素を十分送り込んでいく酸化焼成が主だという。さらに食器用の漏れ止め剤を施すなど、使い手のことを考えて手間を惜しまない。独立して作陶を始めた当初は絵に自信がなかったそうだが、それが現在は、失敗したらやり直しできない掻き落としの作業を下絵なしでサラサラと描いていくまでに。「図案は花柄で20種類程度の定番がありますが、もう1万回以上は描いていますから(笑)。」

 一人で制作、接客、包装などをすべてこなしている元田さん。「今はロクロをひくのが楽しくて、毎日ドロドロになって土と格闘しています。自ら作ってみたい作品に取り組む時間がなかなか取れませんが、夢はたくさんあります。今まで使っていない土を使ったり、造形的な作品にも取り組んでみたいですね。」



temoto_4293.JPG

白化粧した部分に線書き用の棒を使って、下絵なしで一気に掻き落とす

IMG_4308.JPG

カス取り用ブラシ、線引き、皿に模様を入れるためのローラー、カンナ、土が乾いたときに使うスプレーなど。100円ショップなどで手に入る道具も上手に活用

enogu_4295.JPG

陶芸用絵の具を常時12色程度使う

IMG_4312.JPG

庭に咲く椿“初嵐”を描いた小皿や飯碗。左は透明釉をところどころに薄くかけ、素地の赤土色を引き出している
【※作家さん所有の作品です】