main_6311.JPG【陶磁器】
陶房友枝(とうぼうともえだ)
友枝 敏(ともえださとし)-阿蘇市-

1960年熊本市生まれ。1979年九州産業大学彫刻科入学。在学中にヨーロッパを旅して陶芸の道へ進むことを決意。1982年に食器作家・有光武元主宰の大洞陶房に入る。1986年独立、熊本市に工房「友」を作る。1989年に雑誌で取り上げられ、全国で個展やギャラリーとの取引を開始。1995年熊本県阿蘇市阿蘇町に転居し、陶房「友枝」を開く

 ポツリポツリと民家が点在する阿蘇市阿蘇町に、陶房友枝はある。主である友枝敏さんに見せてもらった作品は、古伊万里を思わせる、華やかな絵付けの屠蘇器や茶碗、小鉢など。器いっぱいに細やかな赤絵が施され、まるで日本人形のような愛らしさだ。

 彫刻美術展でヨーロッパの彫刻に魅了され、大学で彫刻を学んだ友枝敏さん。大学在学中に旅したヨーロッパで、日常の中に彫刻がとけ込む文化圏に触れ、愕然とした。「日本では、彫刻で食べていくのは難しい。日本との違いを強く意識しましたね」。その後、職業として選んだのが陶芸の道。修行先では京都や大阪の一流料亭に納める和食器を学んだこともあり、京都や金沢を思わせる、細かな赤絵や金銀彩を得意とする。顧客は県内に留まらず、全国のギャラリーや料亭など幅広い。

 ちなみに赤絵とは上絵付けの技法で、絵の具の粉を水溶きして、ニカワや料理用ゼラチンで定着させる。日本画と同じ手法だ。特徴としては、最初にベンガラの赤で骨描きを行い、彩色にはガラス質の強い、盛り絵の具を用いる。絵付けは細やかで手間がかかるため、1日がかりで10個程度。本人曰く、「まるで座禅を組んでいるような心境」だという。

 素焼きをしたあと白土で化粧がけをして1回、本焼きしたあとに上絵付けをして、さらに本焼きに。絵付けによっては10回近くも窯で焼成する。金彩を用いる場合は絵付けの最後に施し、温度も低めに設定する。「失敗なんてしょっちゅうです。何度も焼成を繰り返しますから器にも負担がかかり、冷めぎれといって収縮で割れてしまうんです。通常よりも神経を遣う焼物ですね」。

あくまで一陶工に過ぎないと言い切る友枝さん。30代は注文をこなすだけで精一杯だったが、いざ新しいものに挑戦しようと思っても、長年ひいきにしてもらっている顧客のイメージもあり、思い切ったことはできないと苦笑する。


 「決して安いとはいえませんが、何十年でも使い続けられることを考えれば、歯ブラシよりも安価なのでは。流行を追って自分のスタイルを失うことなく、作品の良さを理解して下さる方に手に取っていただければ本望です」。

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▼ 材料

絵付けに用いる上絵の具。焼成すると艶やかな色彩へと変化する

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▼ 道具

絵付け用の筆と、丸い形を描くときに用いる烏口コンパス

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▼ 作品

黄交趾(きこうち)の合子(ごうす=香入れ)
【※作家さん所有の作品です】

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▼ 作業風景