熊本の工芸家紹介

main_2039.JPG【陶磁器】
髙遊窯(たかゆうがま)
宇髙 弘子(うだか ひろこ)-阿蘇郡西原村-
1947年生まれ。1976年小代焼岱平窯に入った翌年、熊本県工業試験場工芸部で陶芸を学ぶ。1978年、唐津大杉皿屋窯の大橋裕さんに師事。1983年、阿蘇郡西原村髙遊で「髙遊窯」を開窯、1989年に現在の阿蘇郡西原村桑鶴に移転する


 阿蘇の玄関口となる西原村。神水(しんずい)が有名な揺ヶ池(ユルギガイケ)神社のある山道を進んで行くと、板に並んだ湯のみを天日干しする一軒の建物が見えて来た。ここが、髙遊窯を一人で切り盛りする宇高弘子さんの工房だ。

 まわりには木々が立ち並び、窓からは紫や白色の小さな花たちが色濃く茂った草木のすき間から顔を出す。

 「手仕事が好きで、小代焼を1年学んだ後に2年間、ろくろの勉強をしました。当時は“◯◯焼き”というブランドがつかないと売れない時代でしたが、私は自分なりの作品を作りたいと思って。伝統があり、絵付けなどの多彩な技術を持つ唐津焼を学びたくて、日展作家の大橋裕(おおはし ひろし)さんに師事しました。」

 もともとは唐津焼のように鉄絵を用いた渋い色合いが好みだが、買い手のし好にあわせてかわいらしい色あいにアレンジしていったという。

「プロとして生活していくには、お客様の要望に応えていくことも大切。私は高級食器よりも、一般の方が毎日の食卓で日常的に使って楽しんでもらえる“用の美”を提供したくて。価格も手頃にしているんです。」

 春秋の窯開きにあわせて2カ月ほど前から制作を開始。宇高さんが使う土は、唐津のものが主流で、粘り気が少なくビスケットのような手触りで扱いにくいが味わい深い表情になる。工程としては最初にろくろで土を成形したあと、脚となる高台を仕上げて白い泥で白化粧を施す。乾燥させて素焼きしたら顔料で絵付けを行い、釉薬をかけて再度ガス窯で焼いていく。

「絵付けに一番手間がかかります。長年買い求めて下さる方もいらっしゃいますから、窯開きごとに違うカタチやモチーフを描くよう心がけています。」

 最近では作風の原点である唐津焼風の作品にも取り組み始めていて、将来は唐津焼で茶道具を作るのが目標だそう。

「土選びや釉薬など最上級のものを吟味して、自分の楽しみとして取り組んでみたいですね。」




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深さと幅を測るトンボ、お皿の中をならすヘラ、ツボなど深いものに用いるコテ

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窯の中は置く場所で温度が変わるため、高い温度で長く焼く必要がある。そこで窯の中に温度確認用のゼーゲルを置き、曲がり具合をのぞき穴から見て、窯の温度や焼き時間を調整。番号に比例して曲がる温度は高くなる

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窓から見える四季折々の草花が器のモチーフ。同じ花をシリーズで集める常客もいるそう

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工房の裏手には野外ステージが作られ、毎年4月には阿蘇在住のアーティスト“ビエント”のライブが行われる

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ススミレや野菊、アザミ、ナデシコなど四季の山野草を描いた日常使いの器たち。宇高さんの人柄のようにほっこりと優しい印象
【※作家さん所有の作品です】