main_2308.JPG
【陶磁器】
山幸窯(やまこうがま)
山本 幸一-熊本市-
1947年福岡県生まれ。
福岡県・小石原焼の梶原二郎氏に師事した後、カルロ・ザウリ氏(イタリア・ファエンツァ)のもとで学ぶ。
ファエンツァ国際陶芸展入選、日本陶芸展入選西日本陶芸展入賞など。
1978年熊本市河内町で山幸窯を開き、個展を中心に活躍

 「私の焼物づくりは、湯呑みや飯碗といった“民陶”への憧れから始まりました」と語る、陶芸家の山本幸一さん。最初に修行した小石原焼(福岡県)の窯元で2年間、ロクロ、釉掛け、窯詰め、窯焚きなどを学んだ。

「土に触れるうちにロクロで作る器だけでなく、形のない塊から手だけで作れる“モノ”へと興味を持つようになり始めて。」

新聞でイタリア人陶芸家来日の記事に目がとまり、何かを感じた。
「その陶芸家を通訳した人が紹介状を書いてくれて。イタリア・ファエンツァに飛んだんです。」

現地の学校で学ぶうちに「やきもの=器」という考えは徐々に崩れていった。「職人的要素と創作的要素が混在する日本と違い、イタリアでは日常の器を作る職人とアーティストは大別されています。現地では土と自由に向き合うようになって以来、土で何が作れるのかを考えてきました。」

 土の可能性を追い求めて来た山本さんにとって、2001年の「注器展」がターニングポイントとなった。

「20年近く創作活動をしていて、ふと頭の中が固まっている自分に愕然として。」

1つのテーマに絞り、さまざまなデザインに挑戦することを決めた。

「手間がかかって誰もやらないもの…。ポットや急須を作ることにしました。」

個展に向けて作った40ほどの作品の反響は大きく、ある発見もあったという。

「使い道がなさそうなカタチのポットの反響が大きく。用途という“制約”に縛られていたのは作り手側で、使い手の感覚はもっと自由だと感じました。」

 若いころは自分が作りたいものだけに没頭してきたというが「自分の作品に誰も振り向かなくても、オブジェでは仕方のないことかなと思っていたんです。何年かして評価されるようになって、人は振り向くものだと気づいた。誰も振り向かないのは“モノが語ってない”ということなんです。」

 国内外で高い評価を受けるオブジェは、ホテル日航熊本の正面玄関をはじめ、小説の装丁にもたびたび採用されている。近年、取り組んでいるのが「泥のかたち」をテーマにしたオブジェ。クリーム状の粘土にワラやもみ殻を入れて、これを型に流し込んで固めると、今にも崩れそうなはかない造形が見る人を惹き付ける。

「“おもしろいね”を超えて“欲しい”と言ってもらえたとき、作品を介して自分と外の世界がつながる。そんな作品を作っていきたいですね。」

kine_2326.JPG

杵(きね)と臼(うす) 
大牟田でとれた原土を乾かして砕いてふるいにかけ、水に漬けて粘土を作る。粘土づくリは奥様の担当

dogu_2318.JPG

粘土を伸ばす麺棒、叩いたり模様付けに用いるスペインワインの空瓶、石膏を削るときに使うチーズおろし。まるでシェフが使う道具のよう

kama_2328.JPG

穴窯 焼締の器などを焼くときに使う穴窯。登り窯の原型でもあり、小さな窯だが3昼夜かけて焼いていく

sakuhin_2312.JPG

「擂(すり)鉢百展」で好評だったトルコブルーのすり鉢、活動の転機となった「注器展」で発表した小鳥のようなフォルムの急須。近年取り組んでいるオブジェ「泥のかたち」は海外でも評価が高い
【※作家さん所有の作品です】