main_5765.JPG鮫皮漆塗細工
深水 基(ふかみ もとし)-八代市-
1934年八代市生まれ。父・清氏の代から仏具店としてスタート。10代から父の仕事を手伝い始め、1965年から仏具の漆塗りと鮫皮刀装の技術を応用したアクセサリー制作を開始。くらしの工芸展奨励賞など。

 全国的にも珍しい、鮫皮を使った漆塗細工のアクセサリーを製作している深水基(もとし)さん。鮫の皮は表面がザラザラとして滑りにくいことから刀の柄や鞘の装飾として使われてきたが、これに漆を塗り重ねて磨くとシックな光沢が生まれる。

 八代市で家業の仏具店を手伝っていた深水さんだが、刀剣の販売業を営む親戚に頼まれ、刀の柄に張った装飾用の鮫皮の余りを転用できないかと考えたことがきっかけに。そこで、仏具の修復などに使用していた漆塗りの技術と鮫皮刀装の技術をあわせてみることに。

 「鮫皮に漆を塗ってみたら思いのほか美しくできて。ペンダントやブローチといった、小さな装飾品を作ってみることにしたんです。」

しかし前例がないぶん、商品になるまでは失敗の連続。工芸品として世に出せるまで10年もかかったという。

 鮫の皮を水に浸して軟らかくしたあと、木の土台に貼り、1日おきに10~15回も漆を塗り重ねた後、一定の湿度を保ちながら半年近く寝かせて乾燥させていく。分に乾いた表面にヤスリをかけ、サンドペーパーで仕上げ。最後にツヤを出す。「使いやすくて丈夫なんです」。

 こうしてせっかく仕上げても、模様にムラがあれば失敗だという。自然の模様だから仕方ないとも思うのだが、「どんな模様が出るかは、やってみなきゃ分からない。自分が納得できないものは出せません」。と信念を貫く。武士から現代の我々へと形を変えてその技法が受け継がれたように、次の代へと手渡すまで長く愛用したい逸品だ。



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壁一面にかけられた型 

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 漆を塗るためのヘラや刷毛(はけ)

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脱色した鮫の皮で穴は両目部分。ポツポツした表面が模様となるため、取る部位によって変化が楽しめる

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十分に乾いた漆の上からヤスリをかけると、鮫皮が水玉模様となって浮かび上がる

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ブローチやタイピン、ループタイのほかストラップやかんざしなど、いずれも幅広い年代で使えるデザイン
【※作家さん所有の作品です】