t-main_2261.JPG【漆工】
戸田 友行-熊本市-
1973年生まれ。父に師事した後、香川県漆芸研究所に入所。漆芸家・山下哲二氏のもとで本格的に漆芸を学び、熊本で創作活動へ。日本伝統工芸展入選、西部伝統工芸展など賞歴多数。熊本県美術協会会員。

 木工芸家として活躍する父・戸田東蔭さんの背中を見て育ち、九州で数少ない漆芸作家として活躍する戸田友行さん。

 「香川県の漆芸研究所に入り、香川漆器について学びました。父のもとで指物を学んだことが作品づくりに役立っていますし、木を扱う父や兄の仕事とも繋がっています。」

香川漆器の中でも、友行さんが得意とするのが室町中期に中国から伝わったといわれる“存清(ぞんせい)”という技法。上塗り面の上に色漆で模様を描き、その輪郭線などを刀で線彫りしたり、刻線に金粉などを施すのが特徴だ。漆芸で有名な輪島塗の場合、各作業を専門の職人が行う分業制だが、友行さんは木地作りから仕上げまでをすべて一人で行う。その工程数は、輪島塗で定義されている124を有に超えることもあるという。

「工程数が多くて非常に手間がかかります。作品によっては一つを作るのに数ヶ月かかることも。」

 書画や茶道、骨董収集など多趣味な父親の影響もあり、自身も茶道や絵画、兄と一緒にバンドを組んで音楽活動などを行っている。

「工芸は多方面で勉強しておく必要があります。茶道を知らないと良い茶道具は作れないし、美しい模様を付けるには絵画も学ばないといけない。」

ほかの世界を知ることで磨かれた感性と伝統技術が相乗効果となり、作品に広がりをもたせている。

「漆芸には長い歴史があり、時代ごとにすばらしい作品と技術が残されてきました。今は、それに少しでも近づきたいのと同時に、漆芸がそれぞれの時代に即してきたように、私も“今らしい漆芸”に取り組んでいきたいです。」

t-dougu_2267.JPG

成形や加飾に用いられるヘラや筆のほか、漆塗りには材質がもっとも適している人毛のハケを使う

s-tomoyuki_2242.JPG

模様の輪郭を彫り込み、金を打つ“存清”による漆塗りの盛器。吹きかけたように見える点の集まりも、すべて刀で彫り込んでいる
【※作家さん所有の作品です】

3shot_2227.JPG

左から父・戸田東蔭さん、長男・純一さん、次男・友行さん。父親と長男は指物などの木工を手がける