main_5537.JPG【玩具】
藤本鬼瓦
藤本 康祐-宇城市-
1960年宇城市小川町生まれ。19歳から父勝巳氏に師事、3代目となる。1987年に父勝巳さんが、熊本県の伝統的工芸品に認定。熊本城の鯱(しゃちほこ)をはじめ、弟・誠哉さんとともに九州一円の神社仏閣や一般家庭の鬼瓦を製作している

 屋根の上に乗るための鬼瓦。その歴史は今から1000年以上も前へとさかのぼる。飛鳥時代、仏教とともに瓦の作り方が中国、韓国を経て伝来。平安には吻(ふん)と呼ばれる角のない鬼の瓦が作られ始め、鎌倉や室町時代に入ると三十三間堂や西本願寺といった寺を中心に角付き鬼瓦が製作される。版木で型を取るだけのものから、彫刻を施して立体感を出す技法へと進化していった。民家でも瓦が葺(ふ)かれるようになったのは江戸時代のこと。

 「藤本鬼瓦」3代目・藤本康祐さんは、全国的にも数少ない鬼瓦を専門に作る“鬼師”の一人。九州一円の鬼瓦を幅広く手がけ、熊本城の鯱(しゃちほこ)を手がけたのも藤本さんだ。地元のお寺の屋根に乗った龍の鬼瓦を見せてもらったが、体をうねらせ風になびくヒゲまで臨場感をもった出来映えは、今にも動き出しそうな迫力。 

 父の後を継ぎ、弟・誠哉さんとともに製作と施工現場を分担しながら力を合わせて作ってきた。注文で屋根にあわせて図案から決めていく鬼瓦のほか、鬼の面や鯱(しゃちほこ)を手のひらサイズにした土産品は県外からの観光客に人気だ。鬼瓦は、デザインによって時代の変化が見て取れるという。

「武家より商人が力が持ち始めると、お金の形の鬼瓦が生まれたり。最近だと、猫をモチーフにした瓦も作りました。」

鬼瓦をデザインするときは屋根に乗せた状態を思い描きながら、下から見上げたときのバランスを考える。

 作り方はまず、粘性と耐火度が高い粘土をブレンド。粘土を練って粘り気を出しながら余分な空気を抜いたあと、石膏形を取ったりフリーハンドで型紙にあわせて平たく伸ばして1日寝かせる。

「粘土が10%近く縮むのを想定して作りますが、思い通りに仕上がらないこともあって苦労します。」

厚さを1~3㎝で均一に整え、屋根から落ちないよう紐を括り付ける穴を付けたら粘土に彫刻を施していく。表面を磨いて滑らかにし、約1カ月かけてゆっくりと乾燥。これを窯に入れて1100℃の熱で30時間以上かけて焼成する。

 時代にあわせて変化を遂げながら、1000年以上の歴史を乗り越えてきた鬼瓦。しかし、「たとえ技術があっても、世の中が求めていない品物となりつつあるのかもしれません」と藤本さん。



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(左から)瓦を固定するための紐を通す穴を空ける道具、ヒゲなどを彫るケガキ。ヘラは継ぎ目をならしたり、粘土を切ったり磨いたりと用途に応じて。右端のカキは、粘土同士の接着面にキズを入れて外れにくくする

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石膏形で型を抜く

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粘土の厚さを均一に整えたあとは、水を含ませた布巾でしゃちほこの内部をなめらかに

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加藤清正公の烏帽子や熊本城のしゃちほこなど、土産用の鬼瓦が県外客に好評
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