main_5643.JPG【ガラス】
肥後瑠璃工房
坂本史朗-宇城市-

1971年熊本県宇城市松橋町生まれ。1995年豊平ガラス工場(北海道)入社。ガラス技術を習得したのち、2002年に独立して「肥後瑠璃工房」を開く。2008・2009年くらしの工芸展連続入選

 「目指しているのは、眺めるよりも使ってもらえるガラス。普段使いの器を作っています。」生まれ育った熊本県宇城市松橋町に「肥後瑠璃工房」を構えるガラス工芸家の坂本史朗さん。貝殻のような三つ脚のデザート皿や、透明の器で色ガラスが螺旋(らせん)を描く皿など、曇りのない透明感を通して坂本さんの人となりがうかがえる。

 幼いころから、木工などの手作業が好きだった。モノづくりの世界で独立を目指し、複数の人から北海道のガラス工場を勧められた。日用品の生産を広く手がけるそのガラス工場で修行。吹きガラスの技術をマスターした。作品を作る際には毎回テーマを決めている。ここ2~3年取り組んでいるのが再生ガラス。シャンパンやワインの空き瓶を使った器やランプシェードは、独特の厚みがあってレトロモダンな味わい深さを見せる。「アイデアに行き詰まるのはしょっちゅう(笑)。いつもガラスのことを考えていて、ある瞬間にアイデアが繋がります。」

 ガラスを溶かす窯は、一度火をつけると1000〜1100℃の火を半年近く燃やし続けるという。ガラスを溶かすための坩堝(るつぼ)が温度差で割れるのを防ぐためだ。その間、休みなくガラス制作に没頭する。作業中の窯の中は1300℃にまで上昇する。
溶かしたガラスを棹先に巻き取り、ブローを入れる。吹きガラスでは空気を均等に吹き込まないと厚さにムラができてしまう。繊細で透明感のある材質だけに、途中でやり直しが許されない、瞬間の技だ。

 「作業中、不思議と心が落ち着く。生活の一部になっています。」


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器の口を開く洋箸、ガラスを切るハサミ、グラスの脚や取っ手を形作るピンセットなど。ガラス製作の基本的なものから独自に道具として使っているものまで、さまざま

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硅砂(けいさ)とソーダ灰、石灰をブレンドしたものが原料となる

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ガラスを溶かす坩堝(るつぼ)。ジャパン壺と呼ばれ、半年に一度の周期で新しく替える

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自宅のギャラリーにはライトアップされた作品の数々が
【※作家さん所有の作品です】