main_5460.JPG【木工】
工人舎
福山 修一-球磨郡-
1951年熊本県球磨郡生まれ。
東京でグラフィックデザイナーを経て、28歳から木工の道へ。
くまがわ工房会展や、時を刻む木の時計展、ガラス作家とコラボしたクラフト2人展など、九州各地で展示会を精力的に開催。
奥様とともにハーブティーや手作りジャムの製造販売も行っている

 四方を山に囲まれた、人吉盆地のほぼ中央に位置する熊本県球磨郡あさぎり町。この地で工房を構えるのが「工人舎」の福山修一さんだ。削り箸(けずりばし)やバターナイフ、お盆、碗物から、靴べラや時計などのインテリア小物まで木工品を制作している。

 福山さんの前職は、グラフィックデザイナー。東京から帰郷したもののデザイナーとしての仕事は少なく、人吉のある木工房からカタログを依頼されたのが、木工の道を志すきっかけに。「掲載される商品を目にしながら“ココをこう変えればいい”なんて相手に話していたら、“じゃあ自分でやってみたら”という話になって(笑)。それで、3年間という約束でその工房に入ったんですよ」。こうして3年後は、物がよく売れる時代に。忙しすぎて辞めるわけにはいかず、2000年でようやく独立を果たした。

 使っている木材は桜やケヤキといった広葉樹。「木の仕事に携わる者として、今後は地元の山の大半を占める杉やヒノキを使う必要があるでしょうね」と、限りある資源の将来を見据える。工房には、端材も捨てずに新たな作品となるまで保管。「効率を考えると良くないと思うのですが、もったいなくて捨てられません」。山から切り出し、最低でも3年以上寝かせた木材を使っている。
 小物を作る場合、短時間で大量に作ることができると思いきや、一つひとつ手作りで仕上げるここでは、スプーンだと1日かけて30本程度。口に当たる部分を丁寧に削り出し、目の異なるサンドペーパーを使い分けて滑らかな質感へと仕上げる。正直、価格に見合わないほどの手間がかかっていることは、実際に作業を目にしないと気づかないだろう。使いやすさはもちろん、くびれやカーブの美しさまで計算されたデザインに、デザイナーとしてのセンスが感じられる。

 「こうあらねばならない、という強いこだわりはないんですよ。ですが、本当に使い勝手が良いものは形も美しいというのが僕の考え。見た目にスマートで使いやすい。そんな作品を目指したいですね」。


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▼道具

木を削るカンナやバイトなど手作りの道具。スプーンやバターナイフは型にあわせて木を削り出し、木材を固定したあとノミで丁寧にカタチを彫り出す

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▼作品

タモやケヤキを使った人気の盛り器。漆を塗るとより木目が映える(一番上)。バターナイフやティースプーン、菓子楊枝は、手作りでこその優しい感触と口当たりが楽しめる【※作家さん所有の作品です】