main_3608.JPG【木工】
木工房ひのかわ
古島 隆-八代郡氷川町-
1942年に先代である父が創業。1948年八代郡氷川町生まれ。1969年に有明高専機械工学科卒業後、先代のもとで木工の修業を始める。1984年以降、くらしの工芸展でグランプリをはじめ入選入賞歴多数。1999年に天皇皇后両陛下のイスを、2004年には八代亜紀さんのイーゼルを製作する。

 幼い頃、小さな家具工房で父が注文家具を作る姿を見て育った古島隆さん。父の後を継ぎ、1990年に新しくショールーム併設の「木工房ひのかわ」を構えた。地産地消、お客様の顔が見える仕事がしたいとの思いから、地元を中心に注文を受けてきた。一般的な既製品と比べると決して安価とは言えないが、それでも予約待ちのお客様が途絶えず商品次第では半年待ちもあるという。注文があれば小さな箸入れからテーブルやベンチ、箪笥など木で出来るものは何でも作る。通常使う樹種は桜、楠、楓、胡桃、桐など約30種類、倉庫のストックは100種類以上にものぼるという。合板は有害物質が出たり耐久性に問題がある為、基本的に使わず無垢材で作る。ただし、無垢の木材は生き物だ。空気中の湿気によって常に膨張・収縮を繰り返しているという。

「いつも木が動いている状態で作る訳ですから、例えばテーブルの天板などの場合、一度削ったら時間を置いてまた削るといった具合に養生を繰り返しながら時間をかけて作る事でより完璧に仕上がります」。

“優れた家具”の要素は丈夫さ、使い勝手、美しさ、などがあるが、一番優先すべきは“丈夫さ”だという。木の組み方にはアリ組みやホゾ組などといった様々な仕口(工法)があるが、適材適所で使い分けることでより頑丈になる。

「目に見えない隠れた部分にも送りアリ加工などを施して丈夫さを追求する。そこまでしないと私自身が満足できなくて(笑)。」

 明治や大正時代のタンスなどを修理再生する依頼も多いが、そこから学ぶものは多いという。

「どれだけ技術があっても、良いモノを作ろうという“哲学”がないとダメです。当時のタンスなどを見ると、良くも悪くも作った職人の技能と人間性が見えますから、私も変なものは作れません。古くなっているけどしっかりとした責任感のある手仕事の跡を見つけると嬉しいですね。」

オーダーの場合、樹種や塗装方法など選択肢が多いぶん迷う人が多いが価格も含めた適正なアドバイスをしている。

「予算に応じた提案もしますが、安いからといって責任をもてない家具は作りません。師匠からも“信用第一”と言われ続けていましたしね。」

 40年以上木に携わってきた自分の経験をもとに適材適所の木を選んでいく木取りが、古島さんにとって仕事の醍醐味だという。同じ樹種でも部所により向き・不向きがあるため、たとえばイスの脚に使うか背もたれかで使い分けるという具合だ。木取りをしっかりしないと壊れやすくて使い勝手が悪い、しかも綺麗でない家具になってしまう。

「家具って何気なく買ってしまった後、気に入らなくてもなかなか捨てられないですから、本当に満足する家具を慎重に求め、愛着を持って永く使い続けてもらいたいですね。オーダーだと確かに市販の既製品に比べたらお高いのですが期待を裏切らないような価値あるものを作りますから、毎日気持ち良く使えて永く使えるのでお得なのですよ。」

年間、数多くのオーダー家具を手がけるが、その一つ一つにお客様のこだわりや思いが詰まっている。

「お客様のご要望を詳しく聞いて自分の感性と培われた技術を活かし、お客様が期待されている以上のものをカタチにして驚いて頂いた時が一番嬉しいですね。」


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“送りアリ組み”は板と板を直角に接合する最強の工法。ホゾの根元より先がハの字状に広がっているので、一方の板を手前から差し込んで組み立てると釘がなくても抜け落ちることはない

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イスの座面をくる際に使う座ぐりガンナや南京ガンナ、際から刃が通せる際ガンナ、蟻ガンナなど、特殊なカンナだけでも数えきれないほど

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ショールームには“お客様の声”の紹介したパネルコーナーもあり、トレーやペーパーホルダー等お客様の声をもとに商品化された商品も多い

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新旧のノミ。上は40年使い続けて短くなって使えなくなった突きノミ

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両脇に引き出しが付いた全て桜材無垢のソファ。底には床の傷つきを防止するフェルトが施され、ボード裏には収納ができる隠し扉付きという粋な設計【※作家さん所有の作品です】