m-touin_2249_.JPG【木工】
指物・木彫・日本画
戸田 東蔭(とだ とういん)-熊本市-
1940年生まれ。12歳で彫刻家・田島亀彦氏に師事。県美展、熊日総合美術展、日本伝統工芸展、西部工芸展など入選歴多数。指物・木彫・日本画など多岐に活躍

m-junichi_2252.JPG【木工】
指物
戸田 純一(とだ じゅんいち)-熊本市-
1971年生まれ。父のもと木工芸や日本画を学ぶ。熊本県美術協会展、西部伝統工芸展など入選・入賞。第52回日本伝統工芸展入選作が宮内庁買上に。熊本県美術協会会員、熊本県美術家連盟会員。

 木工の指物(さしもの)をはじめ木彫、挽物(ひきもの)、日本画などを総合的に組み合わせた作品を生み出してきた戸田東蔭さん。幼いころ美術の先生に才能を見出され、彫刻を学び始めたのは小学生だった。その後、室内装飾や家具などのデザインの仕事を経験した後、21歳で独立。現在は長男の純一さんが木工(指物・挽物・刳物)を、次男・友行さんが漆芸の道へと進んでいる。

 「木工は、木目の都合にあわせて作ることが大切。思い描いたカタチを彫り進めるうちに違った木目の動きが見えてきたとき、どう生かしていくかが腕の見せどころです。」

 作品と同様、趣味も多彩で書画や茶道、蓄音機による音楽鑑賞、うどん作りまで幅広い。工房のある広い敷地には古民家を改築した趣のある建物が点在するが、内装はみずから手作りしたという。囲炉裏部屋やステンドグラスをはめ込んだモダンな洋間、障子や襖に墨絵を描いた茶室…。セピア色の時代にタイムスリップしたような世界が広がる。

「何かを創作する人間は、いろんな世界を知っておくことが必要です。感覚を鍛えることで美術的センスが養われ、新しい作品づくりへと役立つ。生活そのものが工芸とつながっていますね。」

 一方、長男・純一さんが木工(指物・挽物・刳物)を始めたのは22歳の時。異素材で加飾していく父・東蔭さんとは異なり、木の美しさを形や仕上げで表現していくのが純一さんの特徴だ。ちなみに指物とは鉄くぎを使わず、木と木を巧妙に継ぎながら強度を保つ伝統工芸品。最初に図面を起こして厚紙で原型を作り、大きさのバランスやデザインの配置を計算していく。

「木の目を組み合わせたり、木を使って象嵌(ぞうがん)したり。木の魅力をどれだけ引き出せるかに重点を置いています。」

これからも奇をてらうことなく、箱物や盛器など昔から存在する造形物を作り続けていきたいと語る。

「伝統的なカタチの制約の中で、いかに今までにない物を作り出せるか。その可能性を広げていきたいんです。」

 父・東蔭さんが取り組んでみたいのは
「江戸小物といって、タンスなどの小さな指物に精神を打ち込んでみたいですね。大きな作品に負けないだけの気持ちを打ち込む、そこには経験や技術が生かされて来るから。昔は大作も作ってきたので、若い人にはそうした作品にも取り組んでほしいですね。」
と、自分の背中を追う息子たちへの期待がうかがえた。




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作品の大きさやデザインで使い分けるカンナやノミは親子で共用。東蔭さんが小学生のころから愛用している彫刻刀も健在だ

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東蔭さんみずから描いた障子絵【※作家さん所有の作品です】

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父・戸田東蔭さんの作品で、木に象牙や螺鈿(らでん)など異質の素材を組み合わせた箱物と花瓶【※作家さん所有の作品です】

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西部工芸展で入選した純一さんの拭漆箱。黒檀に小さな木を点状に埋め込み(木象嵌)、外側は木目の流れが生かされ、美しい模様を描く【※作家さん所有の作品です】