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【染色】
福永幸山堂
福永 幸夫(ふくなが ゆきお)-上益城郡御船町-
1932年福岡県生まれ。佐賀大学美術科卒業後、御船高校、熊本工業高校、八代工業高校で美術やインテリアを指導。日展をはじめ熊日総合美術展など入選・入賞歴多数。日本新工芸展、九州新工芸展の審査員などを務める

 佐賀大学の美術科を卒業後、高校で美術やインテリアを教えてきた福永幸夫さん。

「定年前に藍染めと出合い、展覧会向けの作品を作るようになりました。しかし思いのほか手がかかるため、学校を早期退職して藍染めに専念することにしたんです。」

 藍染めは日本でもっとも古い染色で今から2,000年以上昔、中国から日本に紅花とともに渡来したという記録も残されている。江戸時代に入ると日本で綿の栽培が始まり、綿布と相性の良い藍染めが全国に普及。藍染め屋が至るところに点在していたが、明治時代になるとヨーロッパの産業革命に付随して化学染料が輸入されるようになり、藍染めも徐々に衰退していったという。

「染色に携わってきた者として、熊本で消えつつあった藍染めの文化を少しでも広めていければと思ったんです。」

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藍の葉を乾燥させた“すくも”

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染色液に布をずらしながらくぐらせていくと、自然なグラデーションが生まれる

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日干しの様子

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衣類やバッグ類などは女性職人が担当している

 藍染めの工程は、灰を水に浸してとったうわずみの液であるアルカリ性の灰汁を熱し、ふすま(麦粕)と酒を入れて発酵。そこへ藍の葉を乾燥させた“すくも”を混ぜ、7~10日すると染色液ができ上がる。この液に生地を漬け、静かに上げると空気に触れた藍は酸化発色をし、緑から紺へと変化する。これを何度か繰り返し、最後に水で不純物を洗い流すと深く美しい藍色に染まる。生地に使われるのは綿、麻、絹など自然素材。化学繊維には染まらないというから不思議だ。中国では殺菌・消臭効果をもつ薬草として使われていたため、衣類を身に着けるだけでも体に良いという。

 福永さんが得意とする型染めは、型紙に描いた模様を掘り、餅米の粉と米ぬかを蒸して作った糊を型紙の上からヘラで塗って防染する。模様ごとに何度も染めながら水洗いを繰り返していくと、濃淡のある模様が白く浮き上がって見える。
 福永さんが近年、取り組み続けているテーマは“地球”。藍染めの深い濃紺に浮び上がる地球は、本物の夜空にも負けないほど美しい。

「地球温暖化が危惧されていますが、地球で生きる動物や植物が藍染めと同様にいつまでも保たれるよう、啓蒙的な願いを込めて作り続けていきたいです。」



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“地球”をテーマにした福永さんの新作は、1枚ごとに染めたものを貼り合わせ、背丈を超える大きさ。

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型紙を作る工程
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型紙

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▼作品【※作家さん所有の作品です】
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▼作品【※作家さん所有の作品です】