main_1689.JPG【染色】
岡村 美和-熊本市-
1948年生まれ。
30歳で染色と出会い、教室などで学んだあと独立。
独学で試行錯誤を重ねながら生み出した作品で西部工芸展、日本民藝館展で入賞。
県美会員、日本工芸会西部支部研究員


 ツバキの葉、クチナシ、ビワ、レモングラス、玉ねぎの皮にサクラ…。染色家 岡村美和さんが染色に使う材料は幅広く、自宅の庭木から採った葉や樹皮、自然由来の顔料などが中心。サボテンにつく虫を煮出して抽出した“コチニール色素”の鮮やかな発色や、生葉で染めた夏空色の藍染めなど、岡村さんの作品は自然由来とは思えないほど発色が良くて美しい。

「通常、植物を染料にする場合は布と同量を使いますが、私は多めに用いて自然の色の美しさをより感じて貫きたいです。」

染める生地もシルクや麻、木綿など、自然素材のみ。

 もともと工芸が好きで、仕事をしながら趣味感覚で教室に通ううち自分でオリジナルのものを作りたいと思うように。

「熊本国際民藝館の仕事をしながら作品づくりを行っていたのですが、当時の館長で民藝活動に尽力された外村吉之介氏との出会いから受けた影響が大きかったですね。染色への考え方について指導を受け、その後は独学で資料を見たり研究を重ねてきました。」

 岡村さんの場合は図案を切り抜いた型紙を使い、生地に摺り込む手法を用いるが、連続したツタや花の組み合わせなど、更紗などの異国的な味わいを感じさせる絵柄が多い。

「図案のアイデアに行き詰まったときは、歴代の染色家の方の作品集などを見て方向性などを考え直しています。好きなことを仕事に出来ているだけでも本当にありがたいので、辞めたいと思ったことは一度もないですね。」

 作業工程としては、生地に着いたノリを落としたあと、染め付けを良くするために布海苔(ふのり)と呉汁を混ぜたもので下染め。その後、型紙で模様を染めていく。デザインによっては、絞りなどを施し、大きなタンクで煮出した染料に漬ける作業を繰り返して地色を染め、その後模様を染める。蒸して色を定着させ、水洗いをすれば完成だ。

「なかなかの重労働ですが、でき上がったときの喜びは、ひとしお。着物や帯、風呂敷、のれん等日々の暮らしで使っていただける作品を作っていきたいですね。」


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型紙として用いる柿渋染めの紙、顔料、色ごとに使い分ける刷毛など

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柿渋染めの渋紙に小型カッターで絵柄を切り抜いて型を起こし、刷毛を使って色を摺り込んでいく

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紬の帯に施されているのはブドウやリス、トンボといった秋の風物詩をモチーフにしたデザイン。手すき和紙を使った祝儀袋や季節の絵柄をあしらった絵はがきも人気【※作家さん所有の作品です】