内空閑.jpg【染織】
内空閑円子(うちくがえいこ)-熊本県-

1959年熊本生まれ。政府系金融機関勤務を経て、1986年に友禅と出合う。1987年日本和装文化学院(現・日文コンサルタント協会)の手描友禅講師免状取得後、手描友禅教室「円紫会」を開講。1992年に日文コンサルタント協会から「円紫友禅学院」として認定を受け、2007年まで友禅及び染織全般の指導にあたる。個展をはじめ、熊本県特別講師招聘事業による高校での授業、NHK文化センター講師などを経験


 着物や帯の染色技法としては友禅がおなじみだが、友禅のすばらしさを教室という形で熊本に広げてきた内空閑円子さん。絵画を趣味とする父親の影響で油絵を描くことが好きだったが、「趣味にしていた琴の演奏を発表する場で、自ら描き染めた着物を着てみたい」との思いが友禅染を始めるきっかけに。ちょうどタイミング良く熊本で開かれた手描友禅の講座を受講、免状を取得。半年後には早速、教室を開講していた。さらに奈良へ通いながら伝統的友禅染の技法を学ぶ。


 2人の受講生から始まった教室はクチコミで拡大し、一時期は、熊本・鹿児島両県で会員数120人もの大所帯に。そこで「円紫会(えんしかい)」として始めた教室を「円紫友禅学院」に改め、主婦を中心とする数多くの受講生たちに友禅を中心に蠟けつ染・草木染等染色全般にわたり指導してきた。


 伝統的な本友禅染は、工程が20以上もあり専門の職人がいるほど手の込んだもの。和紙にしみ込ませた青花液で下絵を描き、その上からゴム糸目と糊伏せで輪郭内に挿した色がにじんだりはみ出すのを防ぐ「防染」をする。地入れ、地染めの後、地色を定着させるために蒸して、水で糊を洗い流す。この後、ようやく模様となる色を挿し、再び蒸した後にゴムを取り除く。最後に金などで加飾したら完成だ。花びらや葉の一つひとつに片羽刷毛で色の濃淡を入れ、奥行きのあるボカシの美しさが友禅の魅力ともいえる。訪問着に一つの絵柄を描く場合、着物のカタチに仮縫いをして柄合わせ(仮絵羽)を行ったあと、これを解いてから染めへと進むことができる。


顔料を使用した手描きの作品は、色落ちしにくく趣味で楽しむにはもってこい。「洗い」や「蒸し」の工程が必要ないうえ、絹だけでなく麻・綿など幅広い素材を染めることがでる。ボカシによる立体感と絵画を描くように細密な描写も可能だ。さらに地球環境にもやさしい。桜を描いたのれんや、ほっこり癒されるお地蔵さんのミニ額などが人気。


その他に蠟けつ染・草木染なども手がけている。蠟けつ染は、堰出し技法による風景が多く、特に現在は背景を蠟けつ染で手前の柄の部分に友禅染を駆使した「蠟けつ友禅」に取り組んでいる。防染には、蠟・ゴム・糊を用いるので工程が複雑だ。
また、桜や栗のイガなど身近な天然の染料を用いた「草木染ストール」は優しい風合いが喜ばれている。

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左から挽粉、地入れに用いる海藻のふのり(右)、下絵用の青花液(下)は水に浸して使う

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下絵に防染する際、筒(左)にゴムや糊を入れ、先端の先金(さきがね)から出し伏せていく。その隣りの伸子針(しんしばり)に生地をピンと張るのが肝心。刷毛で地色を入れ、筆で色を挿す。右下はボカシに用いる片羽刷毛

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顔料を使用した手描きタペストリー「夢桜」【※作家さん所有の作品です】