熊本の工芸家紹介

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【イ草】
平住商店
平住 政光-宇城市-
1941年和歌山県生まれ。
10歳のときに熊本へ移り、衣料品店、畳問屋を経て畳工芸作りに移行。
くらしの工芸展グランプリほか受賞歴多数。
現在手がけているタペストリーやラウンドマットは全国で好評を博している

 妻・孝子さんと二人三脚でイ草工芸に携わってきた、平住商店の平住政光さん。第23回くらしの工芸展では「い草ジュウタン リバーシブル蒼源たたみくん」がグランプリを獲得。カラーに染めたイ草でグラデーションを施し、表のイ草と裏側のキルトの間にもう一枚、クッションがわりのイ草が入れたものだ。

 16歳で父を亡くし、母とともに衣料品店を営んだ。和歌山県出身だったこともあり、知人のいる関西方面にトラックで衣類を運んでいた頃、ちょうど熊本がイ草の生産量で日本一になりつつあった。「関西の知人に頼まれ、畳表もついでに運んでいたら大変喜ばれて。結婚を機に畳表の卸問屋を始めました」。しかし畳の需要が減少し、中国産にも押されて八代産イ草の需要が激減。物作りが好きだったこともあり、枕や寝ゴザなどのイ草工芸へと切り替えた。

 平住さんが手がけるイ草工芸品は、カラーに染めたイ草のグラデーションや配色が美しい。「季節の移ろいをイメージしながら、配色を変えています。最近は長寿の願いを込めて古希、喜寿、傘寿、白寿などを色で表現した祝いタペストリーが好評です」。ほかにも昇龍や海から朝日が上がるイメージをしたタペストリーなどバラエティがあり、ゴザにひねりを加えたシルエットが部屋にちょっとしたアクセントを与えてくれる。また、お客さんが名付け親というラウンドマットは10〜30㎝まで揃い、コースターや壁掛けなどアイデア次第でさまざまな使い方ができる。こちらは表と裏で畳目の向きを変えることで強度を増しているのがポイントだ。

 使うイ草は、もともと農家で規格外として捨てられていたもの。イ草のサイズは畳を基準に決められているため、1m以下だと不良品扱いになっていたという。「せっかく育てたい草を、それだけの理由で捨ててしまうのはもったいない。小物を作るには十分の長さだし、農家の方に捨てないようお願いして、これを利用することにしたんです」。

 使い手に喜んでもらえる実用的なものを考えるのが楽しいと語る平住さん。残りの人生を考え、時期が来たらスッパリと仕事から身を引くことも考えているという。国産イ草活性化のためにも、その日が来るまでの間は絶え間ないアイデアを発揮して、多くの人を喜ばせてもらいたい。

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▼材料

カラフルに染色されたイ草

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▼材料

細かく裁断したい草は枕などに使用

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▼作品

熊本県い業生産販売振興協会賞を受賞した、い草の円座。裏はデニム素材のリバーシブル仕様【※作家さん所有の作品です】