熊本の工芸家紹介

【花ござ(はなござ)】
清香園(せいこうえん)
山内 泰人(やまうち やすと)-宇城市-
1968年知的障害者福祉施設として開園
1980年故田中忠興氏から花茣蓙(はなござ)製作技術を伝習
1981年国際障害者年記念「第1回肥後花茣蓙展」開催、施設として初の熊本県伝統的工芸品指定を受ける
代表的な県産品として1993年第2回ゆうあいピック、1999年ハートフル国体の公式土産品に選定

 イ草生産高日本一を誇る熊本県。熊本県宇城市の小高い丘の上に立つ知的障害者福祉施設「清香園」では、地域に根ざした自立訓練の一環として、八代産イ草を使った肥後花ござを、デザイン、染色、織り、仕上げまで一貫して、多くの行程をスタッフ達の手仕事で30年以上制作してきた。園長の山内泰人さんは、クラフトデザイナーとしても現代的デザインを取り入れたオリジナルの花ござ製作の企画と監督を行っている。

 農耕班、養鶏班などに分かれる中、イ草班に従事しているのは約15人。作品としては敷ゴザ、寝ゴザ、コースター、ランチョンマットなどがあり、いずれもデザインやカラーが豊富で、イ草を染めるカラーは約50種類。デザインは縞や格子柄を基調とした「掛川織」と、自由な絵柄をが出来る「紋織」に大別されるが、イ草が原料とは思えないほど華やかな作品となっている。

 以前は自分たちでイ草の栽培も行っていたが、現在は八代のイ草を仕入れて使っている。イ草を1本1本選別し、染料入りの釜で30分ほど煮沸。こうして染織した“花藺(はない)”を、織機にかけて模様を織っていく。織り上がった花ござは、織りキズや色ムラがないかを入念にチェック。「イ草の端がはずれないよう“端結び”を行いますが、織り方によって結び方も違いますし、力加減が難しい。根気のいる作業ですが、イ草班の皆さんは黙々と頑張っていますよ」と、支援職員の竹田洋一さん。




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イ草の端を仕上げる端結びなど多くの行程、一つ一つ根気のいる手作業

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カラフルに染めた4色のイ草が織り上げられていく織機

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熊本県産の良質のイ草(1m30cm以上の粒揃い)だけを使用

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両面使用出来る二重織りで耐久性も優れた、掛川織による敷きゴザ“日輪”(約3畳分)【※作家さん所有の作品です】

 敷ゴザの上に座ると、イ草特有の心地よい肌触りや風合いが、心身をリラックスしてくれる。「長時間作業をしますが、皆さん根気強い人ばかり。なかには20年以上の熟練工もいて、確かな仕事ぶりです。」黙々と作業に取り組むスタッフの皆さんと、その様子を温かく見守りながらサポートする支援職員たちとの強い信頼関係が伝わってきた。