熊本の工芸家紹介

oyako_4599.JPG【太鼓】
堀口 勇(ほりぐち いさむ)-宇城市-
堀口勇
1939年熊本県宇城市生まれ。大学を卒業後、一般企業に就職。30歳で3代目の父に師事。4代目として伝統的な日本太鼓の製造法を守り続ける

堀口 崇
1972年熊本県宇城市生まれ。大学を卒業後、一般企業で2年間働いた後、24歳で父・勇氏に師事。国内産の原料にこだわり、父とともに、不知火町無形文化財指定の太鼓作りに励む

 夏には御田植え神事、秋は収穫祭にと、古来より厄払いや繁栄祈願の行事には欠かせない日本太鼓。熊本県宇城市で太鼓作り一筋に歩んで来た「堀口太鼓店」は、明治10年創業。現在は4代目勇さん、5代目崇さん親子が揃って太鼓作りの伝統を受け継いでいる。

 熊本を代表する祭りの一つ、藤崎宮秋の例大祭で奉納団体が用いる平太鼓をはじめ、神社仏閣や太鼓団体向けの長胴太鼓、首からかけて踊る桶胴太鼓など、注文に応じて大小さまざまな太鼓を製作。

 太鼓胴の原料としては、国内産の中でも東北産のケヤキを使用。「寒い地方の木は堅くて丈夫といわれています」とは、息子の崇さん。原木を3年ほど寝かせて荒削りで胴をくり抜き、さらに3年ほど寝かせて自然乾燥したものを使う。これだけ時間をかけることで、ヒビ割れを防げるという。

「今は太鼓ブームで海外産も増えていますが、私のところでは国内産の原料にこだわっています。中でも胴は、最高級ランクのキズ一つないもの。革を張る際、何トンという圧力をかけますから、それに耐えられる胴でないと良い革が張れません」(崇さん)



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革を削るためのカンナと本張り用の台、ジャッキで何トンもの圧力をかけて牛革を太鼓の形に伸ばしていく道具

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1本の丸太からくり抜いたケヤキの胴は、最低でも6年以上寝かせたもの。牛革は水で濡らして軟らかくしたものをカンナで削って音を調整、約2週間天日干しにする【※作家さん所有の作品です】

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田植えの後、雨乞い神事に用いられる雨乞い太鼓(直径135㎝)や、応援団など向けの長胴太鼓。いずれも特別注文

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荒胴は滑らかに加工された後、塗装。昔ながらの自然工法で余分な毛や脂を水にさらした牛革を、さらに音を調整するためになめしてから鋲で張っていく。

「今は簡単に出来る方法もありますが、この工法だと、革の強さと音が格段に良くなります」。

 顧客は福岡や佐賀、九州一円に広がる。その大半が太鼓団体からの口コミや紹介で、演奏会などで堀口さんが作った太鼓の音色の耳にして問合せが入るという。

 「良い音色こそ、太鼓の命。革の素質やさらし方、張り方、太鼓胴の品質など、あらゆる要素がバランスよく整ってこそ完成します。究極の目標は、良い音色が数十年経っても変わらないこと。そのために素材選びからとことん吟味し、どこに出しても恥ずかしくない太鼓作りを目指しています」。