情緒ある建物が並ぶ八代市の日奈久温泉街をぶらりと歩くと、湯の神・市杵島 姫命を祭神とする温泉神社の鳥居が見えてきます。鳥居をくぐった参道沿いに、1902年に創業した桑原竹細工店はあります。戦前には100軒以上あった竹細工店も、1955年頃には30軒と減り、今では桑原さん1軒のみ。店主・桑原哲 次郎さんは、かつて実業団のバレーボール選手として活躍。1990年、29歳のときに帰郷し、3代目として祖父・作治氏、父・健次郎氏の跡を継ぎました。暮らしの道具として、昔から根強い人気の角籠と竹箸。地元二見の山から採った良質な真竹を使っています。もうひとつ人気なのが、同じく二見の山の桐で作った素朴な人形の“おきん女人形”と“板角力人形”。角籠も人形も雑誌などで紹介され、全国的に人気が出ました。今では作っては売れ、作っては売れ、制作が間に合わないほどです