工芸家プロフィール
インタビュー記事(2010年頃)
九州山脈の山間に位置する人吉球磨地方。ここでは相良藩時代から山林用の山師道具を作る鍛冶職人たちによって、手打ち刃物の技術が高められてきました。そんな鍛冶場の火を守る一人が、栗須敦志さん。栗須さんは中学を卒業後、栗須鍛冶工場へと弟子入り。その後、跡継ぎのいなかった先代に気に入られ、養子となって2代目に。かつては、上球磨方面で栄えた山仕事用の道具専門でした。今もナタ・斧・鎌など作っていますが年々需要は減り続け、生活様式の変化にあわせて家庭用包丁や、竹細工のフチ巻きに使う道具なども手がけています。「作業の中でも一番気を使うのが焼き入れですね。どこの鍛冶場も同じだと思いますが、やり方は企業秘密。ハガネを急冷する際、近代化学で出来た鉛や油などを使う業者もありますが、私ところでは一定温度の水に浸漬する昔ながらのやり方を守っています」