インタビュー記事(2010年頃)
1998年にちひろ窯を開窯。2003年から荒尾市川登に移転し、作陶を続けて来た前野智博さん。会社勤めを辞めて28歳からこの道に入りました。「モノ作りをしたいと考えていたとき、焼物を修行している方と縁があって」小代焼を学んだ後、さらなる技術を習得すべく沖縄県へと飛びました。
「沖縄は中国、韓国、ベトナムなどの文化が入り混じって独特の文化を育んできたところ。焼物の技法が豊富なんです」焼き物で有名な“やちむんの里”で修行して身に付けた独特の絵柄や風合いは、現在も一部の作品で反映されています。作っているものは小代焼ですが、従来のイメージにあるような深い渋みの器以外にも色や形のバリエーションが豊富です。「小代焼は地味な色合いの印象があるので、釉薬を白っぽくしたり原土に白土を混ぜたりと明るくして、若い方にも興味を持ってもらえるよう心がけています」窯のすぐ近くを掘れば作陶に使う土が出て来るという恵まれた環境。「掘る場所は段々限られてきていますね。釉薬は近所の農家から分けてもらったワラを焼いた灰を使っていて、なんとか自給自足に近い昔ながらの手法が出来ています」