現在は、ふもと窯の作品の7割近くを尚之さんが手がけています。中世イギリスの陶器・スリップウェアを日本スタイルにアレンジした食器が全国的に評判を呼び、ファンも多くいます。生乾きの鉢や皿の全面に地色となるスリップ(泥漿状の化粧土)をかけ、さらに上からスポイトで白いスリップを細く垂らして筆を入れたり櫛状の道具で引っかいたりしていくと、地色とのコントラストが美しい模様が浮かび上がります。“新しいモノは一切作らない”という尚之さん。これは古代人が貝殻や草木をデザインのモデルとしたように、小代焼の原点である古小代を指標として、自分の作品にしていくことなのだと思います。