竹工品
熊本は豊富な竹資源に恵まれ、農具や漁具、ざる、しょうけのような、荒物と呼ばれる実用品が作られてきました。竹細工の職人たちは、かつては村々を回り注文に応じて仕事をしたり、竹林に工房を構えたりしていました。
八代市日奈久では、湯治客の土産物として盛んに竹製品が作られました。
明治時代には他県から教師を呼び、小学校の職業課程で、油抜きした竹で作る弁当箱や祝儀の時に進物用の魚を入れる魚籠などの角籠作りが教えられ、丸いざるなどに加えて角籠も多く作られるようになりました。
その他、天草市本渡町、熊本市でも漁具やざる、花器など生活用具を中心に作られるほか、山鹿市ではクラフトの要素を取り入れたモダンな竹籠も作られています。
肥後三郎弓
芦北郡芦北町で大正末期から作られている肥後三郎弓は、強さと気品を兼ね備え、弓道界で高く評価されています。
東京の弓師の家に生まれた故・松永重児氏が、大正13年(1924)26歳のときに、素材の竹とハゼの木の豊富さにひかれ芦北町白石へ移り住み、「肥後三郎弓」を作り出しました。
京弓と薩摩弓の良さを合わせ持ったところが特徴となっています。
真竹と自然乾燥させたハゼを用い、鹿の皮を煮詰めて作ったニベという接着剤で真竹とハゼの木を交互に貼り合わせて作ります。