藤本 康祐

【鬼瓦】
藤本 康祐(ふじもと こうすけ)
藤本鬼瓦
-宇城市-

 

1960年宇城市小川町生まれ
19歳から父勝巳氏に師事、2代目となる
1987年に父勝巳さんが、熊本県の伝統的工芸品に認定
熊本城の鯱(しゃちほこ)をはじめ、弟・誠哉さんとともに九州一円の神社仏閣や一般家庭の鬼瓦を製作している

藤本 康祐

屋根の上に乗る鬼瓦。その歴史は今から1000年以上も前へとさかのぼります。飛鳥時代、仏教と共に瓦の作り方が中国・韓国を経て伝来。平安時代には吻(ふん)と呼ばれる角のない鬼の瓦が作られ始め、鎌倉〜室町時代に入ると三十三間堂や西本願寺といった寺を中心に角付き鬼瓦が制作されます。版木で型を取るだけのものから、彫刻を施して立体感を出す技法へと進化していきました。民家でも瓦が葺(ふ)かれるようになったのは江戸時代のこと。
「藤本鬼瓦」2代目・藤本康祐さんは、全国的にも数少ない鬼瓦を専門に作る“鬼師”の一人。九州一円の鬼瓦を幅広く手がけ、熊本城の鯱(しゃちほこ)を手がけたのも藤本さんです。地元のお寺の屋根に乗ったという龍の鬼瓦は、体をうねらせ風になびくヒゲまで臨場感があり、今にも動き出しそうな迫力。 
現在は息子の修悟さんが3代目の鬼師として康祐さんと力を合わせて作っています。注文で屋根にあわせて図案から決めていく鬼瓦のほか、鬼の面や鯱(しゃちほこ)を手のひらサイズにした土産品は県外からの観光客に人気。鬼瓦はデザインによって時代の変化が見て取れるといいます。
「武家より商人が力が持ち始めると、お金の形の鬼瓦が生まれたり。最近だと猫をモチーフにした瓦も作りました。」
鬼瓦をデザインするときは屋根に乗せた状態を思い描きながら、下から見上げたときのバランスを考えます。
作り方はまず、粘性と耐火度が高い粘土をブレンド。粘土を練って粘り気を出しながら余分な空気を抜いたあと、石膏型を取ったりフリーハンドで型紙に合わせて平たく伸ばして1日寝かせます。
「粘土が10%近く縮むのを想定して作りますが、思い通りに仕上がらないこともあって苦労します。」
厚さを1〜3pで均一に整え、屋根から落ちないよう紐をくくり付ける穴を付けたら粘土に彫刻を施していきます。表面を磨いて滑らかにし、約1カ月かけてゆっくりと乾燥。これを窯に入れて1100℃の熱で30時間以上かけて焼成します。
時代に合わせた変化を遂げながら、1000年以上の歴史を重ねてきた鬼瓦。しかし「たとえ技術があっても、世の中が求めていない品物となりつつあるのかもしれません」と藤本さん。