高光 太郎

【金工】
高光 太郎(たかみつ たろう)
-熊本市-

 

1977年生まれ。幼いころから父・俊信さんの創作活動を見て育つ。学生時代にアメリカへ渡り、彫金・鍛金の技術を習得。2000年の帰国後は、俊信さんの片腕として鉄の作品を作るとともに、自身はスズを使った作品制作のほか、宮崎県立美術館などでスズ工芸の教室なども行う

高光 太郎

ツタが絡まり雰囲気のある建物。熊本市内の本荘町に構えるクラフトショップ「OPEN STUDIO」の扉を開くと、長いひげを蓄えた光俊信さんが出迎えてくれます。店内には錫(スズ)の食器、ホウキ、吹きガラスの花瓶、アクセサリーから薪ストーブまで幅広い作品が並びます。いずれも光さん親子の手作りというから、その多彩な才能には驚かされます。
「僕って欲張りだから(笑)。幅広くデザインを行うには、いろんなことを知ってないとね。鉄と木、ガラスと鉄といった異素材を組み合わせて生活用品を作りたくて。それで、いろんな技術を勉強してきたんです」と俊信さん。
ペーパークラフトに始まり吹きガラス・鉄・磁器・織物・彫金などの技術を学び、これらを自在に組み合わせて独自のデザインを生み出してきました。
「近年は薪ストーブを主に制作していて、そのとき使うホウキも作るようになりました。素朴な風合いが好評ですよ」と俊信さんが手際良く作ってくれたのは、大根おろし専用のブラシ。スポンジでは落としにくい目詰まりもキレイになるといいます。
「僕は、いつも少し“先取り”をしていくのがデザインだと思っているんです。愛や死、憎悪といった普遍的なテーマで先を見つめるのがアートかな、と。僕の生き方自身、デザインだと思っていますから」
10年周期で新しい素材を学ぶと決めていたという俊信さん。
「だって、人生は短いでしょ? 期限を決めてたくさんのことに挑戦したくて。鉄の次にやりたいのは教育です。日本って物質的には豊かですが、自分で作ったモノを使って生活を楽しむことに慣れていない気がするんです」
現在、南阿蘇村で開講している阿蘇ものづくり学校「ASOギャラリー」ではホウキ作りや鉄の鍛金といった体験教室を開いてきました。体験を通じて創作する楽しさを伝えていくことが、俊信さんの次なる夢です。

 

一方、息子の太郎さんは金工一筋。おもに鉄や錫を使った生活用品などを創作します。
店の隣には工房があり、鉄を打つ大きな音が響き渡ります。ここが太郎さんの聖域です。
「鉄は時間との勝負。熱を当てている間に作業してしまわないと、冷めて黒くなったら割れてしまいますから。」
熱でオレンジ色に焼けた鉄は、トングという道具を使ってアメ細工のように丸く曲げられていきます。
「小さい頃から物づくりをやってましたが、好きというよりさせられて(笑)。僕の場合、父の生き方と違って職人肌だと思うので、金属一筋でやっていきたいですね。同じ素材で工夫を重ねながら、さらに良いものにしていく。技術で勝負していきたいです。」
モノ作りへの考え方は対照的な2人。それぞれの個性が際立っているからこそ、OPEN STUDIOの作品の面白さに繋がっているのでしょう。

 

OPEN STUDIO