山鹿灯籠
山鹿灯籠は、和紙と糊だけで作られる立体的な構造の工芸品です。細かい部分まですべて中は空洞になっています。
第12代景行天皇の筑紫路巡幸の際、霧に進路を阻まれた一行を山鹿の里人が松明を掲げて迎えたという故事があります。その後、これを記念して松明を行在所跡(現在の大宮神社)に献ずる火祭りの行事が行われていましたが、
約600年前の室町時代に、金灯籠を模した紙細工を奉納するようになったのが山鹿灯籠の始まりといわれています。
金灯籠の他、有名な建物や神殿を模した作品も作られます。建物を模した作品は、20分の1か30分の1の大きさで作られますが、作品を低めに置いて見るので、実在感を出すために縦は2割から3割大きめに作られています。
山鹿灯籠(金灯籠)
山鹿灯籠の代表的な形で、灯籠踊りのときに頭に付けて使用しています。
山鹿灯籠(金灯籠) 製作工程
企画設計工程
灯篭紙:楮(こうぞ)手漉和紙、金・銀箔紙→材料選別→原紙裏打→裏打台帳→乾燥
歩紙:楮手漉和紙、金・銀箔紙→柿渋引き和紙→歩紙歩(ぶがみぶ)つき
型紙:楮手漉和紙、金・銀箔紙→柿渋引き和紙→雛形取り→切り離し
部分切込工程
(1)毛がき→台座切り.灯袋切り.紋柱切り.紋切り.爛間切り.弓切り.紋紙切り
(2)歩つき→蛍貝ひき→天井切り.六角切り.束柱切り
(3)型紙毛がき→擬宝珠(ぎほうし)切り.足切り.足がれ切り.蕨手(わらびて)切り.手びれ切り.底紙切り
部分糊つけ工程(部分組立)
そくい糊造り:擬宝珠→蕨手(わらびで)・足・弓→天井・台座・六角.・束桂→紋・紋桂・紋紙・手だれ・爛間・灯袋・足びれ
全体組立
灯袋造り→地窓造り→天窓造り→紋造り→底紙張り→足つけ→蕨手つけ→天井張り→擬宝珠造り→点検→製品