津崎 洋子

【肥後象がん】
津崎 洋子(つざき ようこ)
−熊本市-

 

1937年生まれ。肥後象がんの伝統美に魅せられ、この道へ
伝統技法に女性的な感性を取り入れた独創的な作品は、西部工芸展朝日新聞社賞や日本伝統工芸士会作品展などを受賞多数
2004年には肥後象がんで唯一の女性伝統工芸士に認定される

津崎洋子

なめらかなカーブを描く鉄にダイヤモンドを組み合わせたブローチや、ドクロをモチーフにしたリングなど、津崎洋子さんが生み出す肥後象がんはジュエリーアートと呼ぶにふさわしいです。鉄や銀を重ね合わせて木目模様を出す木目金をはじめ、縄目象嵌や高肉(たかにく)象嵌など、さまざまな技法を使うことで今までにない独創的なデザインを表現してきました。
そもそも津崎さんが肥後象がん師を目指したのは、ある美術館に展示された刀の鐔(つば)との出会いが人生の転機となりました。「もともと、地元である熊本の工芸に携わりたいという思いはありました。鐔を見たとき、黒い鉄地と金銀で施された見事な細工のコントラストが美しくて感動したんです。この伝統美を自分なりに表現してみたいと思い、この道へ進む決心をしました」。
やると決めたら即、実行。東京へ移り住んで日本宝飾クラフト学院で宝飾全般、他、各教室で伝統工芸、鍛金、ワックス等を学び、さらに創作の幅を広げたいとアートジュエリーの技術も身につけました。
「自分でやると決めたからには最後まで成し遂げたい。なによりも好きだからやってこられました」と微笑む津崎さん。人並み以上の努力を重ねた結果、彼女にしか表現出来ない新しい肥後象がんの世界を開拓しました。その卓越したデザイン性と技術は高く評価され、日本橋の有名デパートで個展を行うまでに。
津崎さんの場合、最初にデザイン画を起こして創作へと進みますが「とくに何かからヒントを得ることはなく、天から降ってくるように次々とアイデアが浮かんでくるんですよ」とは、うらやましい限りです。
刀の鐔やブローチに施されるデザインは、そのどれもが女性らしい繊細さに満ちている。「400年以上もの歴史を持つ肥後象がんですが、アートジュエリーとして身につけることで、少しでも多くの方にこの伝統工芸を知っていただければ嬉しいですね」。