許斐 良助

【天草陶磁器】
許斐 良助(このみ りょうすけ)
蔵々窯(ぞうぞうがま)
-上天草市-

 

1958年天草郡大矢野町(現・上天草市大矢野町)生まれ
1980年九州産業大学芸術学部美術科卒業
1988年から丸尾焼で修行後、山幸窯に学ぶ
1992年開窯
1997年日本陶芸展入選
2000年西日本陶芸美術展熊本県知事賞、朝日陶芸展入選、出石磁器トリエンナーレ展入選
21世紀アート大賞2000でグランプリなど受賞多数

許斐 良助

「ウォン ウォ ウォー ウォウ。こんな月の夜は、こうやって ときどき 吠えるのもいいもんだ。」
心のメッセージを記した皿や、本物そっくりな蓮根に豆のオブジェ、牛柄のマグカップ…。蔵々窯(ぞうぞうがま)に飾られた作品のどれもが、強烈な個性で手に取る私たちに何かを訴えてきます。これらの生みの親、許斐(このみ)良助さんは、手つかずの自然が残る上天草市の離島、維和島で生まれ育ちました。現在、工房を構えるのは山林に覆われた維和桜公園の中。人里離れた場所にありながら、ここの作品は観ているだけで心が弾みます。 
大学を卒業後約6年間、小中学校で美術を教えていました。
「学校で工芸クラブを作っていて、空き時間に静かな空間の中でロクロを回していると、何とも言えず心地よくて。当時、粘土を買い求めていた丸尾焼で働く人たちの仕事ぶりが楽しそうで、弟子入りを志願したんです。」
1992年の独立以来、その作風は年々変化。磁器とは思えないマットな質感は、天草陶石から脱鉄した際に不要となった鉄分の塊を砕き、粘土に塗って焼締めたのが始まり。その後、地元で採れる天草陶石を用いて、象牙を模したオブジェなどの大作にも挑戦してきました。
数ある動物の作品の中でも、犬をモチーフにした作品には特別な思いが込められています。
「数年前、熊本県では犬の殺処分件数が全国の上位を占めていたことを聞いて、アートの力で何か出来ないかと思って」
共感したアーティストたちが集まり、グループ展を開催。鎮魂の想いを込めたブルーの犬のオブジェなど、作品を通じて失われた生命の声を代弁しています。焼き物以外にも、ギターを片手にハスキーな声で聞く人を魅了するミュージシャンとしての顔をもつ許斐さん。決まった枠に収まりきれないオリジナリティの進化に、今後も目が離せません。