井上 尚之

【小代焼】
井上 尚之(いのうえ なおゆき)
ふもと窯
-荒尾市-

 

1975年熊本県荒尾市生まれ。1995年小石原焼・太田哲三氏に師事
2008年に第81回国展で新人賞を受賞
英国の伝統を組むスリップウェアの若き作り手として各地のギャラリーで個展やコラボ展を開催

井上尚之

ふもと窯の窯元・井上泰秋(たいしゅう)さん。“加藤清正の御用窯の発祥の窯”といわれる古畑窯跡地のすぐそばに窯を移して50年以上経ちました。現在も、息子・尚之さんと弟子と共に現役で創作活動に取り組んでいます。
幼い頃から工作が得意で、才能を見抜いた学校の先生からの強い後押しで熊本県工業試験場窯業課程に進みました。
昔ながらの登り窯を使い、昔ながらの作業を今日までかたくなに守り続けています。
小代焼の代表的な技法は柄杓(ひしゃく)に取った釉薬を器の表面に勢いよく振りかけ、その流れや滴りで文様を表現する“打ちかけ流し”ですが、井上さんは新たに“蒔(まき)釉がけ”という独自の技法を編み出しました。
液状のワラ白釉薬を乾燥させ、目の細かな網でふるいにかけていくと、ポツポツと点描されたような絵柄がおぼろげに浮かび上がって見えます。
「売れるか否かは別にして、技術が鈍らないよう大皿などは作り続けていきたいですね。大作が作られれば、小さい作品にもチカラがこもって見える。プロが見れば、その違いは一目瞭然です。」

 

現在は、ふもと窯の作品の7割近くを尚之さんが手がけています。中世イギリスの陶器・スリップウェアを日本スタイルにアレンジした食器が全国的に評判を呼び、ファンも多くいます。
生乾きの鉢や皿の全面に地色となるスリップ(泥漿状[でいしょうじょう]の化粧土)をかけ、さらに上からスポイトで白いスリップを細く垂らして筆を入れたり櫛(くし)状の道具で引っかいたりしていくと、地色とのコントラストが美しい模様が浮かび上がります。
“新しいモノは一切作らない”という尚之さん。これは古代人が貝殻や草木をデザインのモデルとしたように、小代焼の原点である古小代を指標として、自分の作品にしていくことなのだと思います。

【小代焼】


 福岡県との県境にほど近い荒尾市小岱山。ここから産出される小岱粘土を使った陶器が“小代焼”と称され始めたのは江戸後期だが、すでに平安時代から一大窯業地帯として栄えていたと言われている。

 

 小代焼 ふもと窯は、“加藤清正の御用窯の発祥の窯”といわれる古畑窯跡地のすぐそばに窯を移して40年以上。
 昔ながらの登り窯を使い、昔ながらの作業を今日までかたくなに守り続けている。

 

 現在は、ふもと窯の作品の7割近くを尚之さんが手がけている。イギリス中世陶器のスリップウェアを日本スタイルにアレンジした食器が全国的に評判を呼び、ファンも多い。

 

 生乾きの鉢や皿の全面に地色となるスリップ(泥漿状[でいしょうじょう]の化粧土)をかけ、さらに上からスポイトで白いスリップを細く垂らして筆を入れたり櫛状の道具で引っかいていくと、地色とのコントラストが美しいマーブル模様や文様が浮かび上がる。

 

「作ってみたいモノはたくさんありますが、日々手にして使うモノが第一。使いやすいかどうかは使い手が決めることですから、デザインも含めて“日常に馴染む”器を生涯作っていきたいですね。」

 

“新しいモノは一切作らない”という尚之さんの表現に驚いたが、これは古代人が貝殻や草木をデザインのモデルとしたように、小代焼の原点である古小代を指標として、自分の作品にしていくことだと理解した。

2011年1月

窯
6袋の登り窯は4回ほど作り替え、現存する小代焼の窯元の中でも最大級の大きさ。1袋に1000個近くの器が入る。最初の窯は1昼夜、2番目以降は3?4時間ごとに焚いては間口を閉じていく

 

釉薬
焼いて乾かしたワラ灰を、唐臼(からうす)と呼ばれる水力を利用した道具でつく。それを水に漬けて灰汁抜きして乾燥すると、釉薬の原料となるワラ灰の完成

 

作品
スポイドで垂らすように模様を描いた息子・尚之さんのスリップウェアによる食器は料理の彩りを引き立てる
【※作家さん所有の作品です】