佐々木デザインインターナショナル

【木工】
佐々木デザインインターナショナル
佐々木 敏光(1949-2005)

 

1949年大分県日田市生まれ。芝浦工業大学卒業後、上海国際家具展示会出品作品デザイン展グランプリなど受賞歴多数
1994〜1999年熊本県伝統工芸館オリジナル商品開発アドバイザー、グッドデザイン賞選定委員など
1994年フィラデルフィア美術館の永久展示品に子供椅子(天童木工)が選定
2004年子供家具「SDI Fantasia」シリーズ発表、佐々木デザインインターナショナル設立。2005年心筋梗塞で急逝(満56歳)

佐々木 敏光

成長に合わせて座面を調整、ひっくり返せば木馬として遊べる画期的な子供椅子「バンビーニ(BAMBINI)」
生みの親であるプロダクトデザイナー・佐々木敏光さんは、30年間優れた家具を作り続けた後、2004年に子供向け家具会社「佐々木デザインインターナショナル(以下SDI)」を立ち上げた。世界中の子どもたちに幼い頃からデザインや機能美のあるモノに触れてもらい、情操を豊かに育んでほしい…。それは50代になって子供を持ち、幼い我が子たちに何か作りたいと湧き上がった気持ちを形にしたのがきっかけだ。
しかし、彼はもういない。会社を起こして1年半後、心筋梗塞で突然、他界した。上海でコントラクト家具メーカーを営む沈彪さんと意気投合し、SDIのために立ち上げてくれた工場へ出向く矢先だった。しかし佐々木さん亡き後、妻の真弓さんはSDIを継続していくことを決意。
「SDIの商品は、子供たちがいたからできたようなもの。試作品を組み立てるパパを囲んだ子供たちがキャッキャと喜んでいた姿が忘れられません。当時まだ3歳と1歳半だった子供たちは、一瞬にしてパパの存在を失ってしまった。この子たちを喜ばせてあげたいという一心で、家具を残していこうと決意したんです。」
佐々木さんが亡くなるまでの間に残した数多くのデザインをもとに、オリジナルをモデルチェンジしたり、彼のデザインテイストに合わせてスタッフが企画した新作を展開。
「デザインに関しては素人でしたが“モノ作りとは何か?”という論理を夫から聞かされてきました。」
SDIが展開する「Sdi fantasia」シリーズの中でも、「バンビーニ」は象徴的なアイテムといえる。原型が完成したのは30年以上前。佐々木氏が子供のために買った絵本がきっかけだった。オランダ生まれのアーティストが孫のために書いてあげた絵本に刺激を受け、「自分も子供に何か作ってあげたい、せっかくなら複合機能を持たせたほうが楽しいだろう」との発想から誕生したという。現在は安全性などの改良を重ね、乳児の転倒防止対策に対応した「New BAMBINI(ニューバンビ?ニ)」が活躍中だ。薄い板を何枚も接着させて熱で加工した成型合板を使っているが、捨てる部分が少ないためムダがなく、幅広いデザインに加工がしやすい。ホルムアルデヒドを抑えた規制に適合する塗料や素材にも配慮。曲線や直線の美しさだけでなく、手触りや安全性も十分に考慮されている。
「子供椅子が高い評価を受けてプロダクトデザインの道が開け、最期は子供椅子を作る会社を立ち上げてデザインを追究して逝った。彼にとってこの椅子は、特別なものだったと思います。」
原型の子ども椅子(家具メーカー「天童木工」の製品としてデザイン)はフィラデルフィア美術館の永久展示品となっている。
「大変なこともありましたが、周りが協力してくれてここまで来ました。今進んでいる道の延長線上にこの家具を使って喜んでもらっているという実感があるから、夢だけは衰えません。伝道師のつもりで、彼の想いを届けていきたいです。」

2011年2月