上妻 利弘

【木工 木彫家】
上妻 利弘(こうづま としひろ)
-玉名郡-

 

1961年熊本県玉名郡和水町(旧三加和町)生まれ
1985年の熊本県伝統工芸展入選
1988年アトリエ「森の家」設立
第8回熊日21世紀アート大賞グランプリ受賞、現代日本彫刻展入選(山口県宇部市)など入選入賞歴多数
第10回フランスの芸術祭「Le Vent Des Forets」に選ばれ渡仏
2007年フランス・パリで「CERCLES」展開催、2008年「MUSEUM KOZUMA」オープン
2009年韓国で個展を開催

上妻 利弘

その発想はどこから湧いてくるのでしょう。木彫家・上妻(こうづま)利弘さんが生み出す「SEIMEI」シリーズの彫刻は、植物の芽吹き、人間の臓器、細胞や微生物など、見る側によって受け取り方が変わります。しかし、その作品たちからは息遣いが聞こえてくるような生命力を感じます。約10年前にアートコンペでグランプリを受賞。これを機に取り組んできたのが「SEIMEI」シリーズ。
「もともと自然が好きで、生き物が生まれてくる最初のカタチに興味があって。木を毎日削っていくうちにアイデアが浮かんでくるんです」
刃物を使って木を彫刻するカービングで、さまざまな造形の可能性を追求してきた上妻さん。あるアメリカの雑誌に載っている古いデコイ(狩猟で囮に使う鳥の模型)に魅せられたのが、この世界に入るきっかけに。24歳からナイフで木を削り始めるとのめり込み、今の仕事になっていたそうです。その活動は今や国内にとどまりません。フランスの芸術祭「Le Vent Des Forets」の出展者に選ばれ渡仏。約15日間かけて森の中で彫刻に取り組みました。これを機に知り合ったアーティストと共にフランスで作品展を、韓国のカフェでは個展も成功させています。そんな上妻さんですが、本人は親しみやすい熊本弁でユーモアを交えながら会話してくれるような、良い意味で“アーティストらしくない”人です。玉名郡和水(なごみ)町の山中にアトリエを構え、より自然を感じながら制作活動を続けてきました。「慌てずに、時間をかけて。楽しみながら出来れば、いいですね」。
2008年には「MUSEUM KOZUMA」(予約制)をオープン。天井が高い真っ白な空間には、大小さまざまな作品が並んでいます。
上妻さんが使う道具は、おもにノミとナイフ。「最初にデザインを起こし、どこを残して、どこを削るかをイメージします」。材料には、国産の木を選びます。「基本は地産地消。いつでも手に入る木を使いたいと思って」。
丸太の状態で手に入れて、みずからの手で加工。なるべく自然のカタチを残したいとの思いから。テーブルなどの家具はやわらかな曲線を描き、サイドに彫ったノミあとが味を出します。
「安価な家具が出回り、使い捨てが当たり前で、昔のように“次の世代まで使う”という感覚がなくなってた気がします。しかし、一方では小家族化でプライベート空間にこだわる人も。そんな方々に、作品を手にしてもらいたいですね」。